【今週の振返り】「閑散に売りだらけ」で217円下落した週

2015年12月26日 20:36

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ことわざが、実態を反映しないこともある。「貧乏暇なし」ではなく「貧乏暇だらけ」。東京市場は「閑散に売りなし」ではなく「閑散に売りだらけ」で、ズルズル5日続落。

 新規IPOが2件。DSP「Logicad(ロジカド)」を中心とするマーケティングテクノロジー事業を行うネット広告関連銘柄ソネット・メディア・ネットワークス<6185>が東証マザーズに新規上場。大引けまで初値がつかない人気で、公開価格2300円に対し2.3倍の5290円の買い気配で終了した。ソニーの100%子会社ソネットが筆頭株主で、ソニーグループのブランド力は健在。資産運用型不動産の開発、販売、賃貸管理などを行うプロパティエージェント<3464>がジャスダックに新規上場。公開価格1400円に対し1時46分、2.15倍の3010円の初値がついたが、その後はストップ安になり後味が悪かった。

 日経平均終値は29.32円安の18886.70円、TOPIX終値は+2.32の1533.60で3日ぶりの反発。売買高は19億株で20億株割れ、売買代金は1兆9347億円で2兆円割れという薄商い。値上がり銘柄数は809、値下がり銘柄数は1004だが、大引け直前はほぼイーブンだった。値上がりセクターは21で値下がりセクター12より多く、プラス業種の上位は空運、陸運、建設、水産・農林、保険、鉄鋼など。マイナス業種の下位はパルプ・紙、卸売、食料品、不動産、電気機器、その他製品などだった。

 24日の日経平均は「なぜだ」の4日続落。22日のNYダウは165ドル高で続伸。11月の中古住宅販売件数は昨年4月以来の悪さだったが、7~9月期の国内総生産(GDP)確報値は市場予測を上回って底堅く、原油先物価格も36ドル台に戻し、ダウはほとんどの時間帯をプラスで推移した。ドル円は121円を割り込みドル安円高が進行したが、CME先物清算値は18910円。23日の上海総合指数は0.43%安と反落した。

 23日のNYダウは終日100ドル高を超える高値が続き、185ドル高で3日続伸。NASDAQもS&P500もプラス。3ケタ高が3日続き、これが「クリスマス・ラリー」か? ヨーロッパ市場は軒並み大幅高。クリスマス前の駆け込み発表ラッシュの経済指標はまちまち。新築住宅販売件数は下振れして10月分も下方修正され、耐久財受注は+2.9%の10月から横ばい。一方、個人消費支出は+0.3%で、ミシガン大学消費者信頼感指数確定値は速報値から0.8ポイント上方修正され、市場予測を上回って7月以来の高水準だった。

 しかしダウを押し上げた要因は相も変わらず原油先物価格で、1バレル37ドル台に回復して終値は37.5ドル。週間在庫統計が市場予測に反して590万バレルも減少し、OPECが2020年1バレル70ドル、2040年95ドルという見通しを出したためだが、それは5年も25年も先の話。アメリカの長期金利は上昇。金先物は続落した。24日朝方の為替レートは、ドル円は120円台後半、ユーロ円は131円台後半。ドル安円高の傾向は続いても、CME先物清算値は19060円で19000円台を回復していた。

 3日続落して1日休んだ東京市場は世界から取り残された感あり。まだ消え残る大納会2万円への想い、かなえられそうもない?クリスマス・イブの日経平均は184円高の19071円と19000円の大台に乗せ、日足一目均衡表の「雲」の上に出て始まる。大台は日銀のプチ緩和でチャートに「東京スカイツリー」が出現した18日以来、3営業日ぶり。TOPIXもプラスで始まる。序盤は22日までとはうって変わって値動きが小さく、寄り天(寄り高)と19040円付近の間のおよそ30円幅。それが破れたのが午前9時40分頃で、121円に接近していたドル円が若干円高に振れると19000円の大台を割り、10時12分の19956円まで100円近く下げた。その後は回復しても大台にタッチするだけで、その少し下で弱々しい動き。この12月は、外部要因が良くて始値は高くても、ザラ場では散発的に売られて上値追いの足を引っ張られるパターンが多い。

 政府の2016年度本予算案が閣議決定。一般会計96.7兆円で4年連続過去最高額。2016年度税制改正で総額565億円の減税になる試算も発表。地方創生の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」改定版では、外国人観光客を呼び込む観光戦略をつくる地方組織を2020年までに全国100ヵ所に設置する。厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計調査確報値は、実質賃金は速報値と同じ前年同月比0.4%増で4ヵ月連続増加。現金給与総額は0.7%増で4ヵ月連続増加だった。

 上海市場は開始直後いきなりプラスとマイナスの間で乱高下した後、下げ幅を拡大するが、海外投資家が減って薄商いの日経平均は18900円台後半で徐々に下げる。それでもまだプラス圏。11時を回ると為替の円高進行、上海の下落に同調してプラス幅圧縮、安値の更新が続き、11時27分に18924円まで下げる。前引けは48円高の18935円だった。値下がり銘柄数が値上がり銘柄数の2倍近くあり、TOPIXは安値圏で終了した。

 上海市場は下げ幅を拡大して1.4%安で午前中の取引を終えた。後場は円高の進行は止まったが、午後0時台は19000円台回復どころか18900円を割り込んでたびたびマイナス圏に沈み、0時50分に18866円まで下落する。1時台も前日終値付近のもみあい。その間、TOPIXはずっとマイナス。1時45分には18843円まで下げマイナス圏から浮上できなくなる。2時に上海市場がこの日の安値圏で再開すると、日経平均は18800円を割り込んで2時22分に18780円まで下落し、前日比のマイナス幅は100円を超える。

 振り向けば3円下に75日移動平均線の18777円があり、9時に184円高で取引が始まったのがまるでウソのよう。為替がドル安円高基調で上海が安いとはいえ、3日続伸のNYダウと正反対の軟調。下げた時の押し目買いがなかなか入らないので、日本株には単なるポジション調整だけでは説明できないような構造的な問題がありそうだ。黒田日銀総裁が東京都内で講演し「2%の物価安定目標達成に向けてできることは何でもやる」と見得を切ったが、18日のプチ緩和で見切られたのかマーケットは全く反応なし。今週の事態はプチ緩和のグラン逆効果なのか? 2時台後半は戻しても18800円そこそこ。終盤も18800円前後で動かなくなり、「寄り天」の尻すぼみになり終値は97円安の18789円で4日続落。TOPIXは反落した。上海総合指数は終盤に下げ幅を圧縮したが0.64%安でクリスマス・イブの東京市場を一人にせず、続落にお付き合いしてあげた。

 新規IPOが2件。プレスリリース配信、クリッピングなどのニュースワイヤー事業、レンタルオフィス運営などのインキュベーション事業を行うソーシャルワイヤー<3929>が東証マザーズに新規上場。公開価格1600円に対し10時42分、56.9%高い2511円の初値がついた。その後も一時ストップ高になる人気。分譲住宅、注文住宅、中古住宅、マンションなどの販売を行うケイアイスター不動産<3465>が東証2部に新規上場。公開価格1200円に対し9時13分、6.8%高い1282円の初値がついた。22日に東証マザーズに新規上場して初値がつかなかったソネット・メディア・ネットワークス<6185>に公開価格2300円に対し9時9分、2.39倍の5500円の初値がついた。例年、新規IPOが多い12月だが今年はこれで17戦全勝。25日にあと1社ある。