【今週の展望】とりあえず前週下落分の半値戻しから始める

2016年01月11日 20:34

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テクニカル上はめったにない安値圏に落ち、これから先は上がるだけ。アメリカの雇用統計も味方してくれそう。だが、半値戻しのその先にはくせ者もいる。

 投資部門別株式売買状況は、2015年通年で7年ぶりに売り越しだった海外投資家は3週ぶりの買い越しでも買越額はわずか13億円、個人は3週連続売り越しで売越額2065億円、信託銀行は5週連続買い越しで買越額は1903億円だった。2015年最終週は海外投資家が中立で個人の売り、信託銀行の買いがほぼ均衡する図式だったが、そのバランスが前週、海外投資家が派手に売って大きく崩れた可能性がある。前週から今週にかけて個人はどれぐらい買いに回るのか? しかし、日経平均が1週間で1335円も下げると、「追証(追加証拠金)」でどれぐらい傷ついているか?という心配が出てくる。大幅下落時の追証はボディフローのように効いてマーケットの反発力をそぎ、長期低迷の元凶になる。

 ファンダメンタルズ面で今週の東京市場に大きな影響力があるアメリカの雇用統計が8日発表され、非農業部門雇用者数の伸びは29.2万人で市場予測の20万人より上だが、失業率は5.0%で市場予測と同じ。平均時給は横ばいで市場予測の+0.2%を下回る結果が出た。それでも非農業部門雇用者数は過去2ヵ月分も上方修正され、良好な結果には違いない。NYダウは前週、原油安に引きずられて売られすぎた感があるので、主要企業の決算シーズンが始まる今週は持ち直してくるだろう。

 今週はSQ週明け、3連休明けで、前週に売られすぎた東京市場に心機一転の押し目買いが入って高く始まるという見方が有力。では、どこまで値を戻せるか?

 今週の下値は、8日の日経平均が、朝方に算出された1月SQ値17420円を一度も下回らずに吉兆のほうの「まぼろしのSQ」になったので、それが今後の急落時の下支えになりそうだ。前週の売られすぎを考慮して下値は17500円程度としてもいいだろう。

 一方、上値のほうは前週の下落分1335円の半値戻しラインの18365円や、ボリンジャーバンドの25日線-1σの18388円あたりまでは週の前半で順調に戻していけそうだが、日足一目均衡表の雲の下限が18456円にあり、その天井を突破して雲の中に入り込むのはそれほど容易ではなく、その先にも75日移動平均線の18823円、12月のメジャーSQ値の18943円、25日移動平均線の18948円など、上昇を邪魔しそうなくせ者がいろいろ揃っている。また、今週は売買日が4日間しかないので、18000円台後半に上がるのは来週までお預けになりそうだ。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは17500~18500円とみる。新年の「毒気」は前週、まとめていっぺんに出尽くしてしまった、と思いたいが……。(編集担当:寺尾淳)