2020年の東京五輪が迫る中、首都圏の鉄道各社が訪日外国人への対応を急いでいる。多言語の強化を進め、山手線「E235系」や東京メトロ「13000系」、東武鉄道「70000系」といった新型車両の活躍にも期待したい。
2020年の東京五輪が迫る中、首都圏の鉄道各社が訪日外国人への対応を急いでいる。国土交通省の「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた都市鉄道の取組」では、対応が期待される事項として、観客等の輸送確保や多言語の強化、バリアフリー対策などを挙げている。
まず、多言語の強化が急務だ。わかりやすい案内表記の実現、緊急停車時の案内などが求められる。緊急停車時においては、列車内でまずどのように行動すべきかを外国人にも早急に支持を行う必要があり、多言語による最低限必要な案内(車内に待機、車外に出る等)の実施を期待したい。
新型車両の活躍にも注目だ。15年11月30日、JR東日本の山手線の新型電車「E235系」の営業運転が開始された。山手線では13年ぶりの新型車両投入だ。デザインを監修したのは、伊フェラーリのスポーツカーなどを手掛けた世界的工業デザイナー、奥山清行氏。他に、北陸新幹線「E7/W7系」なども監修している。
車椅子用のフリースペースが全車両にあることや、ネットワークシステムによる監視で突発的な故障の予兆の把握が可能であることも、特筆すべきポイントだ。フリースペースは車椅子の利用者をはじめ、手荷物の多い観光客にも喜ばれるであろう。
また、東京メトロ日比谷線と東武スカイツリーラインも、16?19年度にかけて新型車両の導入を進めている。車両形式名称は、東京メトロは「13000系」、東武鉄道は「70000系」。各ドア上部に17インチワイド液晶が搭載され、多言語案内も可能とする。
一方、残念だったのが新線計画だ。立候補ファイルでは、大会期間中の観客と大会スタッフ数は約1,010万人、1日当たり最大約92万人と予測。そのうち約78%が鉄道の利用を予定している。羽田空港への鉄道アクセスの改善を目指す新線計画があったが、工事が間に合わず、五輪までの開業が困難となった。相互直通運転の拡大や運航ダイヤの改善などで、運送能力が向上しているのもあり、今ある鉄道の効率化で需要増に対応できるとしている。
東京五輪のキーワードである「おもてなし」を電車の中でも感じてもらえるよう、乗車マナーの向上にも努めていきたい。(編集担当:久保田雄城)