【今週の振返り】日銀マイナス金利の弊害だけ残って698円安

2016年02月06日 20:32

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マイナス金利号の特急券は「1日限り有効」。為替も株価も日銀会合前まで折り返し運転。黒田日銀が描いたダイヤ通りに運行せず、次の駅に到着できない乗客に疲労感つのる。

 4日の日経平均は3日続落。NYダウはISM非製造業景況感指数の悪化、原油先物価格の30ドル割れなどを背景に一時大幅安になりながら、急回復をみせ終値は183ドル高。原油先物価格は32ドル台で終了。NASDAQはマイナス。ダドリーNY連銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢をみせ3月の利上げ観測が後退するとドル安円高が117円台前半まで急進し、日銀のマイナス金利の効果を帳消しにした。朝方は118円台前半まで戻す。ユーロ円は130円後半。CME先物清算値は17000円。

 日経平均は120円安の17071円で開始。TOPIXは1400割れ。序盤で17100円にタッチしたかと思えば17000円を割り込み、10時00分に16940円まで下落する。自動車、電機など輸出関連セクターは円高の進行に加えて通期業績の下方修正が相次ぎ特に軟調。しかし前場はその後プラスにあと少しに迫る場面もあった。後場は、シャープ<6753>が産業革新機構を袖にして台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で再建を目指す方針を決めたというNHKの報道にも刺激され、1時すぎプラスに浮上し1時17分に18円高の17209円まで上昇するが、プラスはその場限り。一時再び17000円割れも喫するが、終盤なんとか17000円台をキープして終えたのは、立春だから春の兆し?

 日経平均終値は146.26円安の17044.99円、TOPIX終値は-17.46の1388.81。売買高は31億株、売買代金は2兆8587億円。値上がり銘柄数は322、値下がり銘柄数は1541。プラスは8業種で、その上位は非鉄金属、鉱業、パルプ・紙、石油・石炭、鉄鋼、海運など。マイナスは25業種で、その下位は小売、水産・農林、保険、医薬品、ゴム製品、サービスなど。上海総合指数は1.52%高だった。

 5日の日経平均は4日続落。NYダウは原油先物価格が一時33ドル台を受けて3ケタ高の時間帯もあったが、製造業受注指数の悪化に加え雇用統計発表前の様子見も出て終値は79ドルの小幅高。原油先物の終値は31ドル台。ADP雇用統計は底堅くても新規失業保険申請件数は年明けから良くない。朝方の為替レートはドル円が116円台後半で2週間ぶりのドル安円高水準。ユーロ円は130円台後半。CME先物清算値は16815円。

 シャープの支援先はシャープの首脳が鴻海(ホンハイ)優先を表明。出資額約3000億円と約7000億円を天秤にかければホンハイに軍配が上がり、最終調整中。日経平均は17000円を割り込み16790円で始まる。ドル円が116円台では致し方なし。想定為替レートを割り込む銘柄もあるので、このままでは第3四半期の決算発表シーズンを過ぎても通期業績見通しの下方修正が続く恐れがある。10時40分に16893円まで上昇するのがやっとで、大幅安が続く。後場の1時12分には417円安の16627円まで下げ、日銀会合の結果が発表された1週間前の1月29日の安値をも下回った。為替に続いて株価もマイナス金利効果帳消し。ザラ場中に決算を発表しては通期業績見通しの下方修正が相次ぐ輸出関連銘柄に加え、銀行など金融関連銘柄も下げ止まらず、マイナス金利の効果が消えて弊害だけが残る。シャープだけ独歩高。それでも為替のドル円は116円台で踏みとどまり、後場は下げ渋って16800円台で終えた。

 日経平均終値は225.40円安の16819.59円、TOPIX終値は-19.84の1368.97。売買高は33億株、売買代金は2兆8946億円。値上がり銘柄数は359、値下がり銘柄数は1515。プラスは9業種で、その上位は石油・石炭、卸売、非鉄金属、鉄鋼、鉱業、精密機器など。マイナスは24業種で、その下位は不動産、その他金融、銀行、保険、建設、空運など。上海総合指数は0.63%安だった。

 今週の星取は1勝4敗。前週末1月29日の終値17518.30円から698.71円下落して今週の取引を終えた。日銀のマイナス金利にマーケットが反応したのは1日だけだった。(編集担当:寺尾淳)