国土交通省は、ドローン(無人航空機)の活用を進めようと、日用品や食品を宅配するための実証実験を24日に民間企業とともに徳島県那賀町で実施する。落下事故や事件などでイメージがいまひとつ良くないドローンだが、本来の持ち味を発揮して便利な生活に寄与してくれるかもしれない。
国交省と共同して実験するのは、ドローンの買い物代行サービスの事業化を構想しているMIKAWAYA21(東京)。試験に使われるドローンは8軸で、直径は約1.1m。今回は、機体に貨物を搭載し、3m/sほどの速度で約500m飛行する。離着陸のみ手動操作で、飛行は自動航行が予定されている。
国交省では「早期事業化が期待される過疎地での実験を通じ、運搬時の貨物に与える衝撃度など事業化に向けた課題の洗い出しを行いたい」としている。
ドローンとは飛行音が「蜂の羽音」に似ているために英語の雄蜂という単語から名付けられたとされる。典型的な形は、機体の上にヘリコプターのような羽根が複数付いており、それぞれの羽根の回転方向を操作することで前後左右への動きや静止ができる。軍用から玩具まで様々な大きさ、機能がある。昨年4月、首相官邸の屋上に小型カメラや微量のセシウム134とセシウム137が検出された容器などが積載されたドローンがあるのが発見され、飛ばした男が威力業務妨害で逮捕された。さらに善光寺や三社祭もターゲットとされ、祇園祭などの行事のほか東大寺などでも独自に飛行を禁止する動きが相次いだ。
これを受ける形で、国ではドローンの健全な利用を促進する目的で、12月にドローンの飛行領域を規制する改正航空法を施行している。国土交通相の許可なしに住宅密集地や空港周辺で飛行することが禁止される。夜間やイベント開催時の飛行も禁止対象となった。
ドローンはすでに、立ち入りが難しい場所や災害発生地点においては人間が行けないところまで侵入し、被災の状況をとらえるなど“活躍”の実績を持っている。今回の500mの飛行をどのように宅配としての実用化につなげていくのか、大いに注目したい。(編集担当:城西泰)