生活者の節電行動は東日本大震災による電力不足を契機に高まったが、東日本大震災から5年が経過し、生活者の節電行動は低下が危惧されるようになった。そのため、生活者に節電を伝える新たな手立てやメッセージの検討が急務であるといわれている。
これを受け、みずほ情報総研は、2015年10月10日~10月12日の期間、東京電力管内の20歳以上の男女(953名)を対象に「節電に対する生活者の行動・意識に関する調査」を実施し、東日本大震災以降の節電に関する生活者の考え方について、調査結果をレポートとしてまとめた。今回の調査では、生活者の節電行動の実態を把握することに加え、生活者の節電行動の継続や向上を促す検討に資するよう、「節電等に関する情報収集の実態」などの設問を追加し調査を実施した。
それによると、「節電は手間がかかって面倒だ」と回答した人は2011年の33%から46%に上昇した。また、「エアコンの使用を控え別の方法で涼む」という節電行動は、2011年から23ポイント減少し、震災前水準にまで回帰した。
節電行動を年代別にみると、エアコン、照明の節電行動は年代が下がるにつれ低くなっていた。節電に関する情報を読んでいる人は年齢が下がるにつれて減り、20代では43%が東日本大震災以降も情報を得ていないという。
電力・エネルギー問題の情報についても同様で、東日本大震災以降も読んでいないと回答した人は20代30代で46%と約半数に上った。「節電のやり方がよくわからず取り組みづらい」と回答した人は、年代が下がるにつれて多くなり、20代は34%が節電方法が分からないために取り組みづらいと感じている状況である。
一方、「他の人が節電をどのくらい行っているか気になる」と回答した人は年代が下がるにつれ多くなり、20代は48%と、約半数が周囲の節電状況に関心を示したとしている。
今回の調査からは、昨年に引き続き約半数の生活者が節電行動は「手間がかかり面倒だ」と感じていたことに加え、さらに若年層では、「やり方がわからず取り組みづらい」、「情報に触れていない」などの課題が明らかとなった。現在政府では、地球温暖化対策計画を検討しているが、これらの課題は地球温暖化対策行動にも共通することと考えられるとしている。
今後、節電行動から地球温暖化対策行動につなげていくためには、地球温暖化のリスクや被害を伝え続けることに加えて、電気代の削減など個人のベネフィットに結びつくような情報提供もさらに進めていくことが必要になると考えるとしている。
また、若年層は「他人が節電をどのくらい行っているか気になる」度合いが高かったことから、身近な周囲からの評価が気になる傾向が伺えるとした。そのため、例えば、SNSなどを介した行動の啓発など、情報提供の仕方を工夫し、どのような人にどのような行動をして欲しいのかを見極めたアプローチを戦略的に実施する必要があるのではないか、と同社では提言している。(編集担当:慶尾六郎)