【今週の振り返り】東京市場にも春が来たのか1026円上昇した週

2016年04月16日 20:36

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新興市場から先に元気になった東京市場。今週は主力大型株にも活力がよみがえった。

 日経平均終値は452.43円高の16381.22円、TOPIX終値は+33.09の1332.44。売買高は22億株、売買代金は2兆3482億円。値上がり銘柄数は1683、値下がり銘柄数は195。全33業種がプラスで、上位は保険、海運、非鉄金属、鉄鋼、鉱業、機械など。上海総合指数は終盤息切れしても1.42%高だった。

 14日の日経平均は大幅に3日続伸。ヨーロッパ市場は軒並み大幅高。アメリカの小売売上高はプラスの市場予測を裏切る-0.3%、原油先物価格は終値41ドル台に下落し、JPモルガン・チェースの1~3月期決算も市場予測を上回っても減収減益とさえなかったが、NYダウは終盤に17900ドル台に乗せて187ドル高で年初来高値更新。中国の輸出が増加したり、FRBのベージュブック(地区連銀経済報告)がほぼ全域で賃金上昇、大半の地域で物価上昇をレポートしていたが、底流には投資家マインドの改善したリスクオンがありそうだ。朝方の為替レートはドル円が109円台前半、ユーロ円が123円台前半で、前日よりも円安が進行。CME先物清算値は16600円。

 韓国の総選挙は与党が敗れて過半数割れ。黒田日銀総裁がNYのコロンビア大学で講演。「必要なら躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と言いながら、マイナス金利の影響について「大手行はもとより、地域銀行においても、低金利環境にもかかわらず、過去最高に迫る水準の収益をあげています」と、2015年3月期の業績だけで語っていた。マーケットが心配するのは2017年3月期の銀行セクターの業績がどうなるか、である。

 日経平均は248円高の16629円で始まる。いきなり日足一目均衡表の「雲」に突入。16584円の25日移動平均も突破した。TOPIXは1350を超える。大型株から小型株まで全面高で「出来すぎ」の感もあるが、やはり「円安は全てを癒す」。そのドル円は東京時間開始時から109円台半ばまで円安が進み、日経平均も上値追い。16700円台にタッチした後、序盤は前日比300円高前後の16600円台後半の水準で高値安定。10時台はまず16700円台に乗せ、10分もしないうちに16800円も突破して10時10分に16814円の高値更新。75日移動平均の16842円に接近する。ここまでくるとワルノリ気味で〃お仕置き〃が怖い。上海市場は小幅プラスで始まり、アジア市場も全面的リスクオン。上海はプラス圏で乱高下するが、日経平均は400円高前後、16700円台後半での小動きが続き、前引けは400円高の16782円だった。

 乱高下の上海市場はマイナスにもタッチしたが小幅プラスで午前中の取引を終了。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開するが、徐々に徐々に高値を追っていく展開。いわゆる「先物のカラ売りの踏み上げ」による急騰とは動きが異なる。1時台には75日移動平均線を突破し前日比で500円高を超え、16900円も超えて1時45分に16908円の高値を取ったところで利食い売りが入って下落。再開した上海市場は小幅プラスの水準をキープ。15日からのG20待ちの要素もあり、ドル円が再び円高方向に振れた2時台の日経平均は16800円近辺の値動きが続くが、それでも400円高を超える高値圏。3月の新築マンション発売戸数は、首都圏は39.6%減で4カ月連続で減少、近畿圏は6.1%増。首都圏は地価の上昇でマンション適地が減っている。上海市場はマイナスに落ちる時間帯があったが、日経平均は全く気にせず終盤にかけて徐々に値を積み上げ、再び16900円を超え高値引けで終了。3日続伸の合計上昇幅は1159円もあり、日足一目均衡表の「雲」の上限16989円の突破、雲抜けまであと78円に迫った。TOPIXもJPX日経400も高値引け。東証1部の時価総額は500兆円台を回復した。

 日経平均終値は529.83円高の16911.05円、TOPIX終値は+38.91の1371.35。売買高は25億株、売買代金は2兆6689億円。値上がり銘柄数は1797、値下がり銘柄数は125。全33業種がプラスで、上位は保険、鉄鋼、ガラス・土石、パルプ・紙、陸運、不動産など。上海総合指数は終盤上昇して0.51%高だった。

 15日の日経平均は4日ぶりに反落。ヨーロッパ市場は軒並みプラス。石炭最大手のピーボディ・エナジーが連邦破産法11条の適用を申請した。中国関連倒産。アメリカの3月のCPIは+0.1%の小幅な伸びで市場予測に届かず、原油先物価格も小幅下落。しかし新規失業保険申請件数は-1.3万人の25.3万人と大幅に改善し、決算を発表したバンク・オブ・アメリカもウェルズ・ファーゴも減益ながらEPS(1株あたり利益)は市場予測ほど悪くなく、NYダウは18.15ドルの小幅高で3日続伸した。NASDAQはマイナス、S&P500はプラス。IMFのラガルド専務理事が「急速な円高への為替介入は正当化できる」と発言。為替のドル円はCPIの伸び悩みと日本の地震で一時108円台まで円高が進んだが、朝方は109円台前半、ユーロ円は123円台前半。CME先物清算値は16805円だった。

 14日午後9時26分に熊本市の東隣の熊本県益城町を震源にM6.5、最大震度7の地震が発生した。九州新幹線は回送列車が脱線して不通。ホンダ<7267>、パナソニック<6752>、三菱電機<6503>、ブリヂストン<5018>などは熊本県にある工場の稼働を停止した。発生直後に為替は円高に振れ日経平均先物夜間取引が下落し、東日本大震災発生後、血も涙もない海外勢が日本経済をつぶしにかかっているようにも思えたあの超円高を思い起こさせたが、すぐに元に戻った。

 日経平均は190円安の16720.39円で始まる。始値を「寄り安」に上昇し、9時41分に16900円を超えてプラスに浮上し16921円の高値をつけるが、プラスだったのは数分間だけ。3日間で1159円高と一気に買われたため、テクニカル指標を見ても上値を追いにくい。10時台まではおおむね16850円台前後で小動き。「北朝鮮がミサイル発射失敗」報道にマーケットは反応せず。金日成誕生日の奉祝ならず責任者は処刑か? パソコン事業統合が白紙に戻った富士通<6702>も東芝<6502>も、すでにパソコン事業を独立させ切り離したはずのソニー<6758>も揃ってマイナス。一方、ゼネコン大手や住宅メーカー、九州に本社がある建設関連銘柄、九州が地盤のホームセンターのハンズマン<7636>やナフコ<2790>などは復興関連需要を当て込んだ買いを集めていた。そんな銘柄を目ざとく見つけて買うのが兜町らしさ。

 上海市場が小幅のマイナスで始まりプラスに転換したところで11時、中国国家統計局から経済指標が続々と発表された。1~3月期GDPは年率換算+6.7%で7年ぶりの低水準だったが市場予測と一致。1~3月の鉱工業生産は+5.8%で市場予測より0.1ポイント下、3月の小売売上高は+10.5%で市場予測より0.1ポイント上。1~3月の固定資産投資は+10.7%、1~3月の不動産開発投資は+6.2%で、政府の財政テコ入れ効果が出ていた。日経平均はプラスにタッチし11時1分に16928円の高値をつけるが、その後は下げて前引けは56円安の16854円だった。