過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは400%を超える 高い投資対効果が実証

2016年04月21日 09:00

 IT専門調査会社 IDC Japanは、2015年に実施したユーザー調査および取材を基に、クライアント仮想化市場の クライアント仮想化 ROI(投資対効果)の算出と分析を行い、その結果を発表した。これによると、2012年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは400%を超えており、高い投資対効果が実証されているという。

 今回の調査では、クライアント仮想化導入企業とクライアント仮想化導入企業でワークスタイル変革を実施している企業のROIを比較分析した。それぞれ、421.2%、453.2%と算出され、ワークスタイル変革実施企業のROIがより高い結果となった。投資額、ベネフィットについても、同様の傾向が見られます。ワークスタイル変革実施企業は、全社目標が設定されているケースも多く、具体的な効果が「見える化」されやすいと考えられるとしている。

 ワークスタイル変革に取り組んでいる企業で、クライアント仮想化導入企業における初期投資額、年次投資額、ベネフィットは、それぞれエンドユーザー1人当たり22万5,640円、5万7,448円、83万7,447円となった。クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は41.7%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.68時間(1日8時間勤務と想定した場合)となった。またクライアント仮想化製品の導入によって、エンドユーザー、IT管理者およびITスタッフ、企業全体でそれぞれ28.0%、35.9%、34.2%の生産性向上などの便益増加が見られたとしている。

 近年、クライアント仮想化のソリューションおよび構成の多様化と、ストレージやネットワークなどインフラ系への投資が進んだことで、投資額は増加傾向にある。一方、投資額の増加およびワークスタイル変革などの施策によって、スループットが向上し、生産性向上や業務効率化によるベネフィットの向上に繋がっているという。

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「ITの有用性を測定する定量的指標としてROIは有効な指標のひとつである。今後、適正かつ健全なIT投資/活用が経営戦略上不可欠であり、ROI分析によって、クライアント仮想化がエンドポイントにおける重要なIT施策のひとつと捉えられる」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)