【今週の展望】底堅くても上値がはね返されて動きにくい週

2016年05月15日 20:13

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業績見通しが悪くても、PBRは1倍接近。GDPが悪化しても、景気対策の政策期待。東証1部が曇り空でも、新興市場は快晴。悪材料のすぐ隣には、好材料がたたずむ。

 5月6日時点の需給データは、裁定買い残は4月28日から1923億円減り1兆7989億円で、2週連続の減少。東証が13日に発表した5月第1週(2日、6日)の投資主体別株式売買動向によると、外国人は3142億円の2週連続売り越しで、その前の週の892億円を大きく上回った。個人は2616億円の2週連続買い越し、信託銀行は578億円の3週ぶりの買い越しで、「需給三国志」は個人と信託の合計が外国人とほぼ均衡していた。バランスがとれていると波風は起こりにくく、前週はまさにそれ。営業日が2日しかない週だったので信用買い残、信用倍率(貸借倍率)、信用評価損益率は公表されていない。

 前週9~13日のカラ売り比率は、9日は39.4%、10日は40.3%、11日は40.9%、12日は39.2%、13日は39.7%で、ずっと40%前後で依然高水準。一方、前週の日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は、6日終値29.65に対し13日終値は27.30。前週は12日に25.99まで下がり、高い日でも27台前半と低水準だった。「鬼門」のSQ週の水曜の下落が比較的軽くすんで4日続伸したことを裏付ける。このように需給データは強弱が入り交じっていた。

 今週はテクニカル的にみると、オシレーター系指標は売られすぎシグナルも出て上値を追いやすいが、トレンド系指標は上にレジスタンスラインが多くあり上値を追いにくいという、相矛盾した様相を呈している。日足一目均衡表の「雲」はそれ自体が薄くなって抵抗帯としての機能は衰えそうだが、13日終値16412円の上には16483円の5日線、16530円の25日線、16586円の3月SQ値(メジャーSQなので先物への影響は6月まで残る)があり、さらにその上には16623円の75日線と、「まぼろしのSQ」になってこの先、手強い抵抗をみせそうな16845円の5月SQ値が控える。

 国内経済指標にも、上値をはね返しそうな要素がある。その最大のものが18日の1~3月期GDP速報値で、同じ時期の他の経済指標からみてあまり期待できず、良くて微増というところ。もしマイナス幅が大きかったら日経平均の足を引っ張りそうだ。同日発表の訪日外国人客数も怖い。熊本地震の悪影響が懸念されるが、その減り方がひどければ小売やレジャー関連を中心に株価を冷やすことは確実。また、週明けの16日序盤は、13日大引け後に発表された企業決算を織り込みにいくので、売り気配の銘柄に値がつくにつれて一時的に下げがきつくなるかもしれない。

 為替のドル円レートが前週並みの108円台で推移すると仮定しても、今週の上値は75日線の16623円あたりで頭を抑えられそうで、もしうまくいっても5月SQ値の16845円あたりで止まるのではないか。17000円突破はちょっと望み薄と思える。

 一方、下値のほうは終値ベースでは底堅く、今週は16385円から16328円に下がる雲の下限が一つのメドになりそうだ。もし悪い経済指標が出たりドル円107円台、106台の円高になり日経平均が下げたとしても、心理的節目の16000円がサポートラインになるはず。6日続落中だった前々週も16000円が下値を支えてくれていた。

 企業業績の見通しが悪く株価が下がっても、ドル円の想定為替レートが110円の銘柄よりも105円の銘柄のほうが後で見通しが上方修正される可能性が大きく、PBR(株価純資産倍率)が1倍に近づいたら押し目買いで反発しやすくなる。GDPの悪化による日経平均の下げも、景気対策への政策期待で中和されるかもしれない。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16000~16850円とみる。むしろ16300~16650円としてもいいくらいの小幅な値動きになると予想する。東京市場ではあまり波風を起こさず、おだやかに週末の仙台のG7会合、来週の伊勢志摩サミットを迎えることができるだろうか?(編集担当:寺尾淳)