【今週の振り返り】ザラ場は派手でも終値は小幅で324円上昇の週

2016年05月21日 20:33

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週初から週末まで円安が約2円進行しても、火曜~木曜の3日間の変動はたったの8円。「円安は全てを癒す」と言えないのなら、東京市場を、何が癒してくれるのか?

 招致活動がらみの金銭授受疑惑で「2020年東京五輪中止、ロンドン代替開催」の報道まで飛び出す。万一そうなれば東京市場は大暴落地獄になる。取引時間前に発表された1~3月期のGDP速報値は年率換算+1.7%で市場予測を上回る予想外の好調さ。それを受けて為替のドル円は円高が進行し109円を割り込んだ。悪ければ消費増税先送りや日銀の追加緩和や景気対策の期待が出るところだが、その反対で株価には悪材料。

 NY市場と同じく「良いは悪い」で日経平均は41円安の16611円で始まる。TOPIXもマイナス。しかしすぐに為替のドル円は109円台に戻り、日経平均もプラスに転換。東京・上野の国立西洋美術館が世界文化遺産に登録確実というニュースで東天紅<8181>、精養軒<9734>は買い気配、上野公園の地下を走る京成電鉄<9009>は下落で始まる。パンダの赤ちゃんが期待されると毎度おなじみの「上野関連銘柄」。序盤の日経平均は9時6分に16690円まで上昇するがプラスだったのはつかの間で、9時台のうちにマイナス圏に落ち16600円も16550円も割り込み、9時38分の16517円で下げ止まる。為替のドル円は再び108円台後半に。3人の魔女は遅刻したのか、あわてて魔法をかけにきた。その後は16550円をはさんで上下に動く展開が10時台前半まで続いた。

 ところが10時30分ちょうどから急上昇してTOPIXとともにプラスに変わる。為替は動かず、上海はマイナスで始まり、政策がらみの要人発言も特になく、何かと言えばGDPの詳細な中身が伝わったため。「うるう年効果」を差し引くと実質年率+0.5%前後とむしろ足踏みで、企業の設備投資は1.4%減少、個人消費も伸び悩んだ。これで「政府は消費増税は先送りして景気対策を打ち、日銀は追加緩和」の観測が勢いを盛り返し、日経平均はあれよあれよという間に16700円を突破して高値更新を続ける。ドル円は109円台回復。16750円を超えても高値更新が断続的に続き、11時14分に16795円まで上昇したが、16800円にはタッチできず前引けは100円高の16753円。TOPIXは2ケタの上昇。

 上海市場はマイナス圏で低迷したまま下げ幅を徐々にひろげ午前中の取引を終える。ドル円は109円台だが円高に振れる。後場の日経平均はやや安く始まり16700円を割り込む。昼休みのニュース速報で燃費データねつ造問題がスズキ<7269>に飛び火して急落した。1時すぎまで16700円付近にいたが、1時台に為替の円高に伴い16600円を割り込んで1時53分に16513円まで下げる。後場の下げ要因はGDPよりも為替とスズキに連れ安する自動車関連セクター。ドル円はかろうじて109円台維持。4月の首都圏・近畿圏マンション市場動向は、首都圏は13.5%減で5ヵ月連続で減少し1992年以来の低水準。価格が上がりすぎたため。近畿圏は11.0%増で2ヵ月連続増加。再開した上海市場は-1%を下回る安値圏で横ばいが続く。為替も日経平均もV字反転し、2時台後半にはプラス浮上。終盤は前日終値付近でもみあって最後はプラスになるか、マイナスになるかわからなかったが結局、終値は8円の小幅安で16644円。TOPIXはプラスで3日続伸した。疑惑が発生したスズキは270円安で終えた。終値時点で25日移動平均線が75日移動平均線を上に抜ける「ゴールデンクロス」出現。

 日経平均終値は8.11円安の16644.69円、TOPIX終値は+2.53の1338.38。売買高は23億株、売買代金は2兆3366億円。値上がり銘柄数は778、値下がり銘柄数は1056。プラスは18業種で、上位は鉱業、銀行、海運、石油・石炭、非鉄金属、卸売など。マイナスは15業種で、下位は電気・ガス、情報・通信、サービス、食料品、輸送用機器、機械など。上海総合指数は1.27%安で終えた。

 19日の日経平均は小反発。英国の世論調査はEU離脱反対派がリードしたがロンドン市場は小幅安。大陸ヨーロッパはプラス。FOMC議事要旨は参加者の大半が海外リスクは後退したと認識し、データが急変しなければ6月の利上げは適切だと発言していた。高値圏にあったNYダウは昼下がりの2時発表のこのサプライズで急落し、終盤持ち直しても3.36ドル安。NASDAQ、S&P500はプラス。長期金利は上昇し一時1.87%台になり、前日の東京時間108円台だった為替のドル円は円安が急速に進み110円台に乗った。金先物は下落。原油先物価格は3日ぶりに反落したがそれでも48ドル台。小売のターゲットの決算は減収減益だがEPSは市場予測を上回った。朝方の為替レートはドル円が110円台前半、ユーロ円が123円台後半。CME先物清算値は16715円。

 意図的なのか政府観光庁が前日大引け後に発表した4月の訪日外国人客数は18%増の208万人で、桜のシーズンで人気を呼び単月としては過去最高を記録した。熊本地震の影響で九州では韓国からの旅行者が3割以上減ったが、全体にはあまり影響しなかった。取引時間前に発表された3月の機械受注は5.5%増だが、4~6月期の見通しは3.5%減。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。

 チャート上では移動平均線の25日線が75日線を上に抜く「ゴールデンクロス」と日足一目均衡表の「雲のねじれ」を通過し、トレンド変化の予感たっぷりの日経平均は162円高の16807円と16800円台に乗せて始まる。「円安は全てを癒す」で輸出関連セクターが買われ、スズキも買い直し。序盤は9時4分の5月SQ値16845円が寸前の16841円をピークにズルズル下げて16800円も16750円も割り込むが、10時台はかろうじてプラスを維持。為替のドル円は110円台を保つ。上海市場はマイナスで始まってプラスに転換し、上昇幅を次第に拡大。しかし11時台になるとドル円は110円を割り込み、日経平均はマイナスに落ちて11時22分に16625円まで下落する。前引けは8円安の16636円でTOPIXもマイナスだった。為替以外に上値を抑える要因がある。仙台のG7待ちか? 消費増税先送りの催促か?

 上海市場はプラスのまま午前の取引を終える。為替のドル円は110円台に戻り、後場の日経平均は小幅プラスで再開するが、プラスはその時だけで小幅安、0時50分に3月SQ値16586円寸前の16590円まで下げた後、16600~16650円の狭いレンジの小動きが1時台まで続く。2時に再開した上海市場は小幅プラスで動きがなくなり横ばい。2時台に入るとプラスに浮上するが上値が重く16700円には接近できない。TOPIXはプラスに一度タッチしただけでマイナスのまま。そのまま大引けになり、終値は1.97円高の16646円で小反発というよりミニ反発。TOPIXはマイナスで終了した。