【今週の振り返り】ザラ場は派手でも終値は小幅で324円上昇の週

2016年05月21日 20:33

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週初から週末まで円安が約2円進行しても、火曜~木曜の3日間の変動はたったの8円。「円安は全てを癒す」と言えないのなら、東京市場を、何が癒してくれるのか?

 日経平均終値は1.97円高の16646.66円、TOPIX終値は-1.82の1336.56。売買高は20億株、売買代金は1兆9227億円で2兆円割れ。値上がり銘柄数は1012、値下がり銘柄数は809。プラスは11業種で、その上位は保険、その他製品、ゴム製品、精密機器、証券、サービスなど。マイナスは22業種で、その下位は鉱業、石油・石炭、鉄鋼、電気・ガス、非鉄金属、不動産など。上海総合指数は終盤は前日終値付近でもみあい、結局0.02%安だった。

 20日の日経平均は続伸。パリのドゴール空港を出発したエジプト航空機が地中海上で消息を絶ち、「テロか?」と衝撃が走ってヨーロッパ市場は揃って下落。伊勢志摩サミット前に日本でも乗り物関係の事件、事故がよく起こる。新規失業保険申請件数は1.6万人減と改善し、雇用は一点の曇りもなし。ウォルマートの決算は増収減益だったがEPS(1株あたり利益)が市場予測を上回ったので株価は上昇。ドイツのバイエルがモンサントを買収するという化学・バイオ業界の大型M&Aも飛び出した。しかしフィラデルフィア連銀製造業景況指数は-1.8で2ヵ月連続マイナス。NY連銀のダドリー総裁が「6月、7月の利上げは合理的」と述べ、原油先物価格も48ドル台は保ったが小幅安。NYダウは終日マイナスになり91ドル安で3日続落し、NASDAQ、S&P500も安かった。朝方の為替レートはドル円が110円近辺、ユーロ円が123円前半。CME先物清算値は16595円。

 参議院選挙の投開票日は7月10日という報道が流れる。衆参ダブル選挙にするならこの日しかない。日経平均は51円安の16594円で始まる。TOPIXもマイナス。開始直後に16600円台にタッチするが、9時4分に16548円の底値をつける。それでも9時10分頃から急上昇し、16600円を突破しTOPIXとともにプラスに浮上。前場は16700円に何度も迫りながらマイナスになる時間帯もあり、方向性が定まらない。為替レートは110円をはさんで行ったり来たり。夕方からの仙台のG7財務相。中央銀行総裁会議待ちの様子見ムード。上海市場はマイナスで始まり、徐々に下げ幅を圧縮しプラスに浮上する展開。日経平均も11時6分に16700円にタッチし、前場の残り期間は16680円付近で安定して、前引けは30円高の16677円だった。

 上海市場は前日終値付近の小動きの末、わずかなプラスで午前の取引を終了。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開するが、1時を回ったととたんに16700円台後半にポンと跳ね、1時6分に16770円の高値更新。為替のドル円は110円を少し超えただけ。1時台は16700円台前半で動く。1時に発表された4月の食品スーパー売上高は既存店ベース+1.7%で13ヵ月連続プラス。熊本地震が起きた九州・沖縄地方も買いだめが起き+3.8%だった。一方、2時に発表された4月の全国百貨店売上高は既存店ベースで-3.8%。九州は-12.9%で特に悪かった。訪日外国人向けの免税売上高は-9.3%で3年3ヵ月ぶりのマイナス。訪日外国人全体は+18%と大幅増だったが、4月8日に中国政府が関税引き上げを実施したのが相当効いている。「爆買い伝説」を終わらせたのは熊本地震ではなく、中国の関税政策だった。

 再開した上海市場はプラスからマイナスに変わり軟調。2時台の日経平均は16700円を一時割り込み「利益確定売りの金曜日」を思わせたが、終盤は為替がドル円110円台で徐々に円安が進行するのに呼応して一定ペースの上昇が続き、この日の高値圏の89円高の16736円で続伸。TOPIXは反発した。

 日経平均終値は89.69円高の16736.35円、TOPIX終値は+6.84の1343.40。売買高は18億株、売買代金は1兆8831億円という薄商い。値上がり銘柄数は1332、値下がり銘柄数は481。プラスは29業種で、その上位は水産・農林、繊維、その他製品、ガラス・土石、情報・通信、その他金融など。マイナスはゴム製品、空運、倉庫、卸売の4業種。上海総合指数は終盤再びプラスに変わって上昇を続け0.66%高だった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末13日の終値16412.21円から324.14円上昇して今週の取引を終えた。決算発表シーズンが終わり、通期の想定為替レートは大部分が105~110円の範囲内だった。今週は為替のドル円レートが週初の108円台から週末の110円台まで約2円動き、想定為替レートの範囲を超えて円安が進行したが、週間騰落は前週より19円多いだけの324円どまり。「円安は全てを癒す」とは、必ずしも言えない1週間だった。(編集担当:寺尾淳)