ボリンジャーバンドでは、27日終値は25日線-1σの16368円と+1σの17135円の間のニュートラル・ゾーンにある。トレンド系指標を総合すると、ボリンジャーバンドは上にも下にも動きやすいポジションだが、下には移動平均線3本と16586円の3月SQ値があり、週後半にはせり上がってくる日足一目均衡表の雲の上限も加わって、今週の下落に歯止めをかけるサポートライン(下値支持線)の役割を果たしそうだ。
オシレーター系指標は「買われすぎ」シグナルが3つも点灯している。+76.2で買われすぎ基準の+50をオーバーしたRCI(順位相関指数)、74.8で買われすぎ基準の70をオーバーしたストキャスティクス(9日・Fast/%D)、70.3で買われすぎ基準の70をオーバーしたボリュームレシオ。それ以外も、69.6のRSI(相対力指数)も70の買われすぎ基準にごく近い。サイコロジカルラインは8勝4敗で66.7%、騰落レシオは109.0、。25日移動平均乖離率は+0.5%だった。オシレーター系指標は今週の上値追いが抑えられるというシグナルを発している。
5月20日時点の需給データは、信用買い残は13日時点から715億円減の2兆5331億円でマイナスに転じた。信用倍率(貸借倍率)は4.08から3.79に減少。裁定買い残は2週連続で増加し496億円増の1兆8602億円。信用評価損益率はマイナス11.50%で、13日時点のマイナス10.72%から0.78ポイント動いただけ。
東証が発表した5月16日~20日の週の投資主体別株式売買動向によると、外国人は2週続けての買い越しだが額は21億円。個人は2週連続の1301億円の売り越し、信託銀行は3週連続の178億円の買い越しで、外国人は売り買いがほぼ均衡し、個人の売り越しが突出していた。
カラ売り比率は23日39.9%、24日39.1%、25日36.4%、26日39.7%、27日39.0%で、大幅高の25日以外は40%に接近していた。それだけザラ場中に不安定になる要素があった。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)は27日終値では25.75で、20日終値の26.18から0.43ポイント低下した。前週はずっと27未満で推移し、安定していた。
今週は、テクニカル指標は上値も下値も動きにくい。前週は5月SQ値の16845円が上値抵抗線として屈強にはじき返し、26日まで一度も越境を許さない「まぼろしのレジスタンス」だった。その上には17000円があり、4月28日以来約1カ月間、一度もタッチできていない。これも心理的な節目として上値の「天井」を形成。それを超えたとしても27日時点で17135円の25日線+1σあたりが今週の限界になるだろうか。消費増税の先送りはすでにかなりの程度、織り込み済みなので、あとは国会会期末にサプライズになるほどの政策が出てくるかどうかが焦点になる。
一方、下値も移動平均線、3月SQ値、「雲」の上限が密集して、下落を食い止めるサポートの手が多い。もし経済指標の悪化や要人発言などで悪材料が重なったり、アメリカ雇用統計待ちの様子見が入ったとしても、大きく崩れるのを防ぐストッパーになる。特に27日時点で16752円の25日移動平均と16586円の3月SQ値はその本領を発揮しそうだ。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは狭く見積もって16500~17100円とみる。
前週は東京市場の薄商いが極まり、売買代金が2兆円を超えた日は1日もなく、売買高も売買高も今年最少を更新した。テクニカル分析では売買高と株価の関係について「売買高移動平均は株価に先行する」という原則がよく知られている。前週のように毎日毎日薄商いでは売買高移動平均も下がっている。ということは今週以降、時間差を伴って株価は下がっていく、ということか?(編集担当:寺尾淳)