ECサイトを運営する上での大きな課題として、集客費用に見合った購入率やリピーターの獲得が難しいことがあるが、これらの課題を解決するために人工知能の活用が始まっている。
NTTドコモ<9437>は、6月8日、ECサイトでの法人向け購買支援システム「ecコンシェル」の提供を開始した。「ecコンシェル」は人工知能によるユーザーデータの解析によって自動で販売促進策を施す。
「ecコンシェル」の導入により、サイトを巡回するユーザーのアクセスログや購買履歴などさまざまなデータを解析し、個々のユーザーにマッチしたクーポンの配布や商品の案内を人工知能が行う。これにより人の手をかけることなく購入率やサイトへの再訪問率の向上が期待できる。
既に試験的なECサイトへの導入も行われており、購入率が20%、顧客単価が50%向上といった効果が得られることが実証済みだ。
人工知能がコンシェルジュ的役割を担って、ユーザーの購買行動を促すツールは既にいくつも展開されている。ユーザーのマウスの動きから感情を解析して最適なタイミングでクーポンを配布する「ZenClerk」(Emotion Intelligence)や、人工知能がユーザーの行動パターンを学習して最適なタイミングで販促をかける「SPIKEオートメーション」(メタップス)などが昨年から今年にかけて続々と新サービスを開始し注目を集めている。
販売促進施策を人工知能によって最適化、自動化していくECサイトは今後増加していくと考えられるが、手軽に導入できるかがサービスを選択する上でのポイントとなるだろう。「ecコンシェル」はクラウド技術を活用したサービスで、管理サイトで発行されるJavaScriptのコードをウェブサイトに埋め込むだけですぐに活用でき、導入の際の技術的敷居の低さでは先行サービスにも引けを取らない。
これに加えて「ecコンシェル」では、ECサイトでの顧客体験の質を「まるで実店舗での接客のように高める」ことで、競合との差別化を図る。
「ecコンシェル」がマーケットに受けいられるか否かは未知数だが、今後の動向に注目したい。(編集担当:久保田雄城)