バイオテクノロジーで伝統を作る 新京野菜

2016年09月18日 19:18

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京都市では「新京野菜」の生産販売を強化している。「新京野菜」とは京都の気候や風土に合わせて品種の改良を施された野菜で、消費者や生産者にとってさまざまなメリットがある。現在市場に出回っている野菜はそのような品種改良された野菜がほとんどである。

 京都市では「京の旬野菜推進事業」の中で「新京野菜」の販売と生産の強化をしている。京都市によって西京区大原野地区に設置された「開発野菜種子配布センター」では、生産者と京都大学と協力を得ながら京都の気候風土に合わせた新しい野菜の開発と導入が進められている。「開発野菜種子配布センター」で開発された野菜の有望品種の種苗を、市内の農家に有償で配布することで生産を広めている。「新京野菜」の主な品種としては京てまり、京唐菜、京ラフランなどの6品種がある。

 京てまりは鮮やかな赤色をしたミニトマトよりやや大きめのトマトである。4月下旬から6月中旬、9月下旬から11月上旬で旬を迎え、高い糖度とフルーティな味わいが特徴の品種になっている。一般的なトマトに比べてベータカロチンとビタミンCが非常に多く含まれるなど栄養価が高い。

 京唐菜は葉とうがらしとも呼ばれ、葉や茎を食べるための改良が加えられた唐辛子である。一般的な唐辛子に比べ葉が柔らかく、加熱すると辛みやえぐみが緩和される。ビタミンCやカルシウムが豊富で、夏場に不足しがちな葉物野菜として期待されている。

 京ラフランは大根とキャベツ、コールラビをかけ合わせてできた品種である。花蕾、葉、茎を食用とし、病気に強いので比較的農薬を少なくすることができるのが特徴。栽カルシウム、ビタミンB6、ビタミンCが豊富に含まれている。

 実はこのように人間の手が加えられた野菜はとても一般的なものである。スーパーで出回っている野菜はほぼ人間によって何らかの品種改良がなされているといってもよい。野菜は消費者のニーズに合わせて味やサイズ、姿を変えたり、栄養価を高めたりといった品種改良がなされている。また、生産者のために病気や気候の変化に強く、安定して収穫できる改良がなされている。今後も消費者や生産者のニーズに合わせて新しい野菜の品種が次々と開発されるだろう。しかし、市場に根付いて定番の野菜となる品種はほんのひとにぎりのようである。(編集担当:久保田雄城)