大阪キタでは、うめきたガーデンの催しや、ナレッジキャピタルにおける様々なイベントなど文化のムーブメントが感じられるエリアだが、大阪のランドマーク・梅田スカイビルに新しい芸術文化の発信地が誕生する。
梅田スカイビルは地上173 mの超高層ビルで、国内のみならず海外からの観光客にも非常に人気のあるスポットだ。その目玉ともいえるのが空中庭園展望台。2015年度には過去最高となる121万人が来場した。その6割が外国人観光客だという。
この大阪屈指の観光スポットに住宅メーカー大手の積水ハウスが洋画家・絹谷幸二氏の作品を展示する「絹谷幸二 天空美術館」を2016年12月23日(金・祝)に新設すると発表した。
絹谷氏は、日本におけるアフレスコ画の第一人者として著名な洋画家で、1971年にイタリアに渡りベネチア・アカデミアに入学したのを機にアフレスコ画の研究をはじめた。以来、画壇の芥川賞ともいわれる安井賞の他、日本芸術大賞、毎日芸術賞など数々の芸術賞に輝き、97年には長野冬季五輪公式ポスターの原画制作も行っている。現役の画家として活動しながらも、東京藝術大学名誉教授、大阪芸術大学教授として後進の指導にもあたっている。2014年には文化功労者に顕彰され、日本国内だけでなく、海外でもその名は知れわたっている。
ところが、関西経済同友会によると大阪府の芸術文化経費は府民1人当たり79円。全国平均600円を大きく下回り、全国最下位レベルとなっている。大阪市だけをみても、814円と政令指定都市の中では下から3番目。現況では、大阪は市府共に芸術とも振興のための予算は全国でも最低レベルだ。
今回、梅田スカイビル内に新設される「絹谷幸二 天空美術館」は、絹谷氏の活動や思想に共感した積水ハウスが、美術館を開設することにより、大阪の芸術文化の発展に寄与するべく企画したもので、同社の和田勇会長は「日本人だけでなく、海外に向けても、大阪の芸術文化を発信する拠点とすることで、大阪を代表する観光資源としての梅田スカイビルの魅力向上を図り、地域経済の発展にも貢献したい」と意気込みを語った。
絹谷氏も「美術館などが減少傾向にある中、積水ハウスの支援によって開設できたことは美術界にとっても画期的なこと。美術や芸術は、1+1が2の単純な世界じゃない。そういう無限の可能性と答えを秘めた作品を見てもらうことで、美術や芸術を志す人だけじゃなく、これからの未来を担う子供や若者たちの力になれば」と意欲をみせた。
大阪湾に臨む街を見渡せる眺望の開けた「梅田スカイビル タワーウエスト 27階」にオープンするこの美術館には、絹谷氏の作品が50点程度常設展示されるほか、絹谷氏の作画過程を見られるアトリエやワークショップスペース、さらには迫力満点の3D映像を使って絹谷作品の世界感を体感できるコーナーなども設置される予定だ。(編集担当:藤原伊織)