10月7日時点の需給データは、信用買い残は9月30日時点から550億円減の2兆1522億円で2週ぶりの減少。信用倍率(貸借倍率)は3.18倍から2.95倍へ2週ぶりに減少。信用評価損益率は-12.21から-11.68へ2週ぶりに改善。悪化と改善の週替わりパターンが続いているが、週間騰落がプラスなので需給は改善した。
裁定買い残は656億円増の7575億円で4週連続の増加。しかし裁定売り残は5週連続増加の7680億円で過去最高。105億円の差ではあるが、18年ぶりの裁定買い残との逆転現象はこれで5週連続となった。これだけがアブノーマル。
10月3~7日の投資主体別株式売買動向によると、外国人は2805億円の6週ぶりの買い越し、個人は2877億円の2週ぶりの売り越し、信託銀行は277億円の2週連続の売り越し。「需給三国志」は外国人の買いと個人の売りの綱引きだった。410円も上昇したような週は、そうなる。
前週のカラ売り比率は11日が36.9%、12日が39.4%、13日が38.8%、14日が36.6%。10月になってから40%オーバーの異常な状況は影をひそめた。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の14日の終値は20.01で、7日終値の20.24から0.23ポイント低下した。仕掛け売りで急落した13日が21.25だった以外は20台。アメリカの雇用統計もノーベル賞の発表もSQももう終わった。静かで落ち着いたほうが、秋らしい。
14日のNY市場は39ドル高。NASDAQ、S&P500も小幅高。小売売上高は市場予測通りで、ミシガン大学消費者態度指数速報値は市場予測を下回るなど経済指標はかんばしくなく、イエレン議長のボストン連銀主催イベントの講演では金融政策への言及なし。それでもドルは買われ株価は反発した。NY時間の為替のドル円は104円台前半、ユーロ円は114円台前半。CME先物清算値は16875円、大阪先物夜間取引終値は16900円だった。17日の東京市場は小幅高で始まりそうだ。
前週は11日にザラ場でも終値でも17000円台をクリアし、13日も前場にそれに迫ったものの先物主導の仕掛け売りに粉砕された。すぐ上に9月SQ値の17011円とボリンジャーバンドの25日線+2σ(17082円)が横たわる17000円の節目は当分の間、何度もタッチしては抜けずにはね返されるラインになるとみていいだろう。それを突破するには好材料も商いのエネルギーも不足気味。今週も17000円は上値のメドになるとみる。
一方、下値は16700円をはさんでその前後にサポート機能を果たしそうなラインが4つも並んでいる。14日に算出された10月SQ値の16741円は「まぼろし」にはならなかったので割り引いて考える必要があるが、16727円の25日移動平均線は下落ストッパーの役割をよく果たしてくれる。16712円には今週前半、日足一目均衡表の「雲」の上限がくる。雲全体のサポート力はけっこう強い。雲の上限は週後半、16808円まで上がる。16670円には200日移動平均線もある。そんなゾーンなので今週はザラ場で下落を食い止めて、16700円が下値防衛の目安になるだろう。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16700~17000円とみる。上下300円の狭いレンジだが、それだけ為替ともども波乱に乏しく、値動きが小さく、静かで落ち着いた秋らしい相場になると予想する。
東京市場では10月になってから一度も「20億株、2兆円」の大台に乗せられない薄商いが続く。海外の機関投資家が戻っても短期売買ばかりではボックス相場の繰り返し。望ましいのは中・長期投資を行う健全な個人投資家の参加が増えることだ、が。
「東京五輪が終わり2021年になれば東京の不動産は暴落する。その時に安い値段で買えるように、今はひたすら節約して貯金だ」
そんなことを信じている人はたいてい、失敗例ばかり見て「株式投資はリスキー」と固く信じ、手を出さない。だが、リスキーかリスキーでないかは、やり方次第。良い機会を逃すこともまた、リスクである。
前週、ノーベル文学賞を受賞した「現代の吟遊詩人」ボブ・ディラン(Bob Dylan)は、こう言っている。
「泳ぎ出したほうがいいよ。そうしないと石のように沈んでしまう(It’s better to begin to swim. When I won’t do that, I sink like a stone)」「やらなきゃいけないことをやるんだ。そうすればうまくいくさ(You do what you must do and you do it well)」(編集担当:寺尾淳)