コンビニエンスストア(CVS)チェーンなど流通大手では、小売事業に比べて金融事業は大変高い利益率を持っており、企業価値の向上と顧客との接点を増やす一環から金融事業進出・強化する動きが相次いでいる。
セブン&アイ・ホールディングスは早くから銀行業に参入し、2001年にアイワイバンク銀行(現:セブン銀行)を設立。セブンイレブンを中心にATMを設置してきた。2016年2月期の連結営業利益のうち金融関連において14%を占める。
ローソンも三菱東京UFJ銀行と提携、銀行業参入に向けた準備会社を設立し、2018年の実現を目指す。
イオングループも2007年に銀行業を設立、その後クレジットカード会社と経営統合し個人ローンや預金などを一体運営している。2016年2月期の連結営業利益で、何と総合金融事業が31%を占めている。
そして、国内CVSチェーン第2位の「ファミリーマート」と「ゆうちょ銀行」が手を結ぶ。2018年1月から、ゆうちょ銀行の利用者がファミリーマート店舗に設置したATMを利用する際の手数料を基本無料にする。
ゆうちょ銀行が自行以外のATMで手数料無料とするのは初めて。ファミリーマートとゆうちょ銀行は、全国に約1万8000店舗ネットワークで利用者の利便性をアップさせる。ライバルのCVS各社も金融事業に注力しており、社会インフラとしてCVSの機能が強まる。
ファミリーマートとゆうちょ銀行の親会社である日本郵政グループは、この4月に金融や郵便、物流など幅広い分野で提携すると発表していた。今回のATM手数料無料化は、この提携の第1弾となる。預金残高が国内最大のゆうちょ銀行の利用者には高齢者や地方在住者も多く、ゆうちょ銀行の顧客をファミリーマートに誘導し、集客につなげたい考えだ。
従来はファミマATMでの出入金時1回につき108~216円の手数料が差し引かれていたが、2018年1月以降は夜間と休日を除き無料になる。
ファミリーマートでは17年1月から順次、新店の開設などにあわせ、ゆうちょ銀行が開発した小型ATMを導入する。(編集担当:吉田恒)