矢野経済研究所では国内ホームファッション市場の調査を実施した。調査期間は2016年8月~10月、調査対象はホームファッション業界に携わるメーカー、卸、小売業者等。調査方法:当社専門研究員による面談ヒアリング、電話取材、文献調査を併用した。
2015年のホームファッション小売市場規模は前年比102.1%の3兆5,070億円であった。食に対する消費者の関心の高まりや、機能とデザイン性に優れた海外ブランドの増加、テレビ番組の料理プログラムの増加などを背景にキッチンツールが牽引し、キッチン・テーブルウェアが市場規模を拡大させた。
また衣食住のカテゴリーを超えた、ライフスタイル提案型ショップにおいて、生活雑貨から家具まですべて特定の店舗で買い揃える消費者が増加するなど、こうしたストアブランド人気の高まりによりホームファニチュアが好調に推移した。
2016年のホームファッション小売市場規模は前年比101.9%の3兆5,740億円を予測する。量販店(GMS)による商品の体験コーナーを設置するなどの接客サービスの強化や、個々のライフスタイルに訴求するライフスタイル提案型ショップの取り組みなど、商品のみならず顧客への付加価値のあるサービス提供から新たな需要を開拓する動きが注目されるとしている。
2016年のベッドリネン・寝具小売市場規模は前年比99.7%の6,900億円とほぼ横ばいを予測する。2015年は量販店(GMS)がこれまであまり行ってこなかった商品の体験コーナーを設置するなど、接客を重視した戦略により機能性商品の販売機会が拡大し、堅調に推移した。アイテム別では寝装品を清潔に保ちたいとする消費者需要に対し、“洗える羽毛”掛けふとんを提案するなど、素材にこだわったふとん類が好調であった。
2016年のタオル製品小売市場規模は前年比100.6%の1,610億円とほぼ横ばいを予測する。2015年はオーガニックコットン素材を使った安全性の高いタオルが子ども向けとして好調であったことや、アーティストのライブや野外(屋外)フェスなどにおいてオリジナルグッズとしてのタオルが好調であった。また近年はタオル生産地の今治や泉州におけるブランディング戦略の取り組みにより、タオル製品強化の動きがみられる。2016年は今治タオルブランド公式ショップを松山空港内に出店するなど、ブランド認知の向上に伴って、堅調に販路を拡大させている。
2016年のナイトウェア・ホームウェア小売市場規模は前年比103.0%の 1,700億円とプラス成長を予測する。2015年は大手SPA企業の大ヒットした部屋着と差別化する商品として、百貨店が自社ブランドの高級部屋着を販売したことや、和雑貨展開企業が日本製ルームウェア(部屋着)を企画するなどこれまでと異なるアプローチで消費を喚起することに成功した。若い世代からデザイン性のある部屋着ニーズが高まっていることを背景に、メーカー各社はナイトウェア・ホームウェアのラインナップを拡充している。また男性向けや子ども向けなどの需要を開拓する動きもあるとしている。(編集担当:慶尾六郎)