【今週の振り返り】「日米非連動」で停滞しても48円上昇した週

2017年02月25日 20:23

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NYダウは、わざとらしい滑り込みがありながら、11営業日続伸の連勝街道。日経平均は、円高にさいなまれながら、一進一退を繰り返すばかり

 ドル円は正午前から円安方向に反転。後場の日経平均は前引け水準で再開した後、19300円台後半にマイナス幅圧縮。TOPIXはプラスに転じる。1時台は前日終値に接近してプラスに浮上できそうでもできず、19350円付近まで押し戻される時間帯もある。2時台はドル円が133円台後半で安定し、TOPIXはプラスに乗せて日経平均も何度かプラスにタッチするが長続きせず、大引け前に急伸してもあと一歩でプラスに届かなかった。終盤にTOPIXがプラスに戻し急伸したが、日銀のETF買い704億円は入っていなかった。

 半導体事業を2兆円以上で売却と伝えられた東芝<6502>は22.31%高で値上がり率1位。債務超過を逃れられる可能性が出て、東証1部全体の約4分の1を占める5億株以上の大商い。1000億円の自社株買い発表を好感された楽天<4755>は9.39%高で値上がり率3位。覚醒剤取締法違反で社員が逮捕されたが、株価対策で下げ止まり。アスクルの流通センターの火災は発生から6日たってやっとほぼ鎮火し、株価は0.15%高。今期末に特別損失を計上して最終減益か?

 日経平均終値は1.57円安の19379.87円、TOPIX終値は+1.49の1557.09。売買高は21億株、売買代金は2兆1068億円。値上がり銘柄数は906、値下がり銘柄数は920でほぼ拮抗。プラスは19業種で、上位は海運、鉄鋼、繊維、サービス、水産・農林、非鉄金属など。マイナスは14業種で、下位は不動産、その他金融、パルプ・紙、食料品、保険、陸運など。上海総合指数は0.13%高だった。

 23日の日経平均は小幅続落。ドイツのIFO景況感指数は111.0で市場予測を上回り、2年9ヵ月ぶりの高水準だった昨年12月の水準に並ぶ。期待指数104.0も市場予測より上。ユーロ圏はドイツがこけると皆こけるので好ましい堅調ぶり。英国の10~12月期の実質GDP改定値は+0.7%で速報値を0.1ポイント上方修正。2016年通年のGDPは+1.8%で速報値を0.2ポイント下方修正。中道のマクロン氏が失速し大統領選挙の行方が混沌としてきたフランスも含めてヨーロッパ市場は揃ってプラス。NYダウは32ドル高で9営業日続伸し、1987年以来30年ぶりの9営業日連続史上最高値更新。終値でわざとらしくプラスに滑り込んだ日もあったが、それでも記録は続く。NASDAQ、S&P500は3営業日ぶりに反落。原油先物価格は反落し53ドル台に戻った。金先物は3営業日続落。

 中古住宅販売件数は+3.3%で市場予測を上回った。在庫は-7.1%で在庫不足が問題になっている。1月31日~2月1日に開催されたFOMCの議事要旨公表。イエレン議長の記者会見はややタカ派色を帯びていたが、実際の議論では噂された「出口戦略(バランスシート修正)」は議論されず、参加者の多くがトランプ政権の経済政策に「相当な不透明感がある」と懸念を示し、早期利上げ観測が遠のいた。3月利上げ説が後退してアメリカの長期金利は低下し、ドル安が進行して為替のドル円レートは一時113円を割り込んだ。朝方は113円近辺。ユーロ円は119円台半ば。大阪夜間取引終値は19340円。CME先物清算値は19330円だった。

 日経平均始値は0.05円高の19379.92円。高値は始値で「寄り天(寄り高)」。安値は10時7分の19262円。終値は8.41円安の19371円。取引開始前に日銀から発表された1月の企業向けサービス価格指数は103.0で前月比-0.5%、前年同月比+0.5%だった。デフレ脱却、いまだ道遠し。

 日経平均はわずか5銭高。TOPIXはマイナスで始まる。しかし日経平均は前日同様に「寄り天(寄り高)」でマイナスに落ち、序盤は19350円をはさんだ値動き。リオ五輪後、深刻な不況に陥っているブラジルの中央銀行は政策金利を0.75%下げた。それでも年12.25%の高利回り。日本から見れば、NASAが発表した「39光年のかなたの地球の七姉妹」ではないが、他の惑星の話のように思える。しかし地上の一寸先は宇宙よりも暗い闇。10時前、ムニューチン財務長官の「税制改革は8月がメド。年末まで延びるかもしれない」という談話のニュース速報が出た。「驚くべき税制改革」が最長10ヵ月も先とは、驚くべき悪材料。日経平均も先物主導で驚くべき急落。10時をはさんで一気に約80円急落した。113円台半ばまで円安が進んでいたドル円も一気に30銭ほど円高に振れる。春の嵐を呼び込む要人発言、げに恐るべし。その後はショックを癒すように為替のドル円は円安方向に戻る。日経平均も徐々に上昇し11時すぎに取り戻した19300円台を保ったまま67円安で前引け。TOPIXは-5.46で、本来の日銀のETF買いの条件は満たしていた。

 昼休みの為替のドル円は113円台前半で横ばいだが、後場の日経平均はマイナス幅を圧縮して再開する。「ムニューチン・ショック」の癒し過程の続きのように0時台、1時台は徐々に刻みながら19350円付近まで上がるが、プラス圏は届かない。2時に内閣府から12月の景気動向指数改定値が発表された。一致指数は前月比-0.3の114.8で速報値(前月比+0.1)から下方修正。先行指数は+2.2の104.8。景気の基調判断は「改善を示している」で据え置き。2時台はいったん19310円付近まで下げた後、ドル円の円安進行に同調して終盤まで上げ一方。あるいは大引けでプラス滑り込みかと思われたが8円及ばず続落。TOPIXもあと一歩でプラスに届かず反落した。しかし日経ジャスダック平均は10営業日続伸。これも別の惑星。前日は入らなかった日銀のETF買いの704億円はこの日、入っていた。前引け時点で前日は36円安、この日は67円安。TOPIXのマイナス幅は4倍ぐらい大きくなっていた。