【今週の振り返り】「日米非連動」で停滞しても48円上昇した週

2017年02月25日 20:23

0205_009

NYダウは、わざとらしい滑り込みがありながら、11営業日続伸の連勝街道。日経平均は、円高にさいなまれながら、一進一退を繰り返すばかり

 18年間、社長兼CEOを務めてきたカルロス・ゴーン氏の退任を発表した日産<7201>は0.58%安。日産の会長、ルノーのCEOは続ける。日産と資本提携した三菱自動車<7211>は1.11%高だった。アマゾンなどネット通販の配送がふくれあがり、労働組合が「宅配便のこれ以上の荷受け増は勘弁してほしい」と音をあげたヤマトHDは、人件費の圧迫から解放されると解釈され7.89%高で値上がり率2位。子ネコが多すぎてクロネコのアゴがはずれそう。人手不足でない袖は振れず、増加分は他社に譲るしかない。日本通運は0.68%高、セイノーHDは5.10%の大幅高、日本郵政は0.27%高だった。親会社が近く上場する佐川急便がアマゾンの配送をヤマトに譲ったのは、正解だった?

 新規IPOが3件あった。再生可能エネルギー発電事業、再生可能エネルギー開発・運営事業を行うレノバ<9519>が東証マザーズに新規上場。公開価格750円より50.0%高い1125円の初値がつき白星。「太陽光や風力のバブルははじけた」と言われている中で健闘した。

 札幌市が本社で、ビッグデータ等の分析、マーケティングシステムの提供、各種プロモーションの企画・制作・コンサルティングなどダイレクトマーケティング事業を行うフュージョン<3977>が札幌証券取引所アンビシャス市場に新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格1140円の2.3倍の2622円の買い気配で終了し、初値を持ち越した。札幌アンビシャスでは1年8ヵ月ぶりの新規IPO。2009年以降は3件しかない。北海道に大志を抱くベンチャーがいても、他の新興市場に行ってしまいがち。

 首都圏エリアで焼鳥と博多水炊きの鶏料理居酒屋「てけてけ」、和食「心」、ハンバーガーカフェ「The 3rd Burger」を直営方式で運営する外食企業、ユナイテッド&コレクティブ<3557>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格1620円の2.3倍の3730円の買い気配で終了し、初値を持ち越した。外食銘柄は実店舗があって業務内容も業績もわかりやすく、株主優待の楽しみもあるので、IPOセカンダリーでも人気の業種。

 月が変わると3月は、上場日が決まっているものだけで22件もある東京市場「春のIPOまつり」。それに前日、回転寿司業界トップの大物が加わった。東証はスシローグローバルHD(スシローGHD)<3563>の上場承認を発表。2009年4月にMBOで上場廃止になったあきんどスシローの持株会社で、事実上の再上場日は3月30日で東証1部または2部。「回転寿司4強」の他の3銘柄の株価の反応は、「無添くら寿司」のくらコーポレーション<2695>は0.97%高、「はま寿司」のゼンショーHD<7550>は0.26%安、かつての業界トップ、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト<7421>は0.70%高。

 日経平均終値は8.41円安の19371.46円、TOPIX終値は-0.84の1556.25。売買高は19億株、売買代金は2兆43億円。株価指数はマイナスでも値下がり銘柄数848より値上がり銘柄数1013のほうが多い。プラスは18業種で、上位は鉱業、空運、倉庫、医薬品、食料品、石油・石炭など。精密機器1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは14業種で、下位は証券、非鉄金属、鉄鋼、銀行、その他金融、ガラス・土石など。上海総合指数は0.30%安だった。

 24日の日経平均は3日続落。ヨーロッパ市場は軒並み反落。NYダウは34ドル高で20800ドル台に乗せ10営業日連続史上最高値更新。NASDAQは反落、S&P500は反発してそのPER(株価収益率)は17.8まではね上がった。高所恐怖症の症状が出てくる頃。原油先物価格は在庫統計が市場予測を下回ったので反発し再び54ドル台。2015年7月以来の水準でエネルギーセクターの株価を上昇させた。シカゴ連銀全米活動指数は前月のプラスからマイナスに変わり-0.05。新規失業保険申請件数は6000人増加し24.4万人。トランプ大統領は製造業大手トップと懇談し、貿易問題で中国やメキシコを槍玉にあげたが、日本のニの字も言わなかった。安倍首相が一緒にゴルフをした効果か? そのメキシコを訪問中のティラーソン国務長官は外務大臣から「メキシコを危険視するのは侮辱的だ」と言われるなど、話し合いはとげとげしいムード。「国境の壁」の建設費用を出させるミッションはインポッシブル。

 ムニューチン改めムニューシン財務長官が「税制改革の効果は今年中は限定的」など弱気発言を連発。予算審議、税制改革を優先し、インフラ投資関連の法案審議は2018年に先送りされる懸念が浮上した。財務長官が50年、100年の超長期国債の発行を口にするとアメリカの長期金利は低下してドルが売られ、金先物価格は大幅反発。朝方の為替レートはドル円が112円台後半、ユーロ円が119円台前半と円高進行。大阪夜間取引終値は19280円。CME先物終値は19285円だった。

 日経平均始値は139円安の19232円。高値は10時28分の19381円。安値は取引開始直後の9時0分の19219円。終値は87円安の19283円。「3時で仕事を終えて帰ろう」という「プレミアム・フライデー」の初日だが、東京証券取引所の後場は3時まできちんとあり、大阪取引所の先物・オプション市場も通常通りの時間。東証には「開始、終了の時刻をいじってシステムトラブルを起こすのが怖い」と、大納会や大発会の「前場のみ」をとりやめた経緯がある。人間よりもコンピュータのほうが大事だということ。

 日経平均は為替の円高を受けて3ケタ安で始まる。TOPIXもマイナス。こんなに「日米非連動」が著しいのは、これまでなかった。序盤は19240円をはさんでの小動き。それが9時台後半に高値追いに転じ19300円を突破する。TOPIXは10時までにプラスにタッチ。ドル円は113円には届かないのでそれほど目立った円安進行ではなく、為替以外の材料。東芝が、傘下のウエスチングハウスの連邦破産法11条申請も選択肢に入れると報じられ急騰していた。そのほうが財務には好影響だが、原子力は大幅縮小。半導体も売却すれば収益先細りで、再び売り物探しになりかねない。こういうのを「タケノコ生活」という。早くいいスポンサーを見つけないとドイツのヘキストのように「東芝、流れ解散」になりかねない。10時台には日経平均もプラスにタッチするが、タッチしただけ。19300円台前半の小幅安圏で11時台も推移し、前引けは30円安。TOPIXは-0.94で、日銀のETF買いが入るかどうかは微妙。