床下にもロボット? いよいよ社会に浸透し始めたロボットの今

2017年04月01日 19:21

ロボット

積水ハウスのロボット式防蟻(ぼうぎ)再施工システム「スプロボ」。作業員が室内や床下に入らなくても、遠隔操作で、より安全確実に防蟻施工ができる。

 今、ロボットが急速に普及して、その存在が社会に浸透し始めている。ロボットは一昔前まで、自動車やエレクトロニクス、金属加工などの産業分野や医療分野など限られた場所で活動するのが主流で、日常ではあまりお目にかかる機会は少なかった。ロボット掃除機「ルンバ」が一世を風靡したことで、家電業界には既にロボット化の波が押し寄せている。

 IT専門調査会社IDCが2016年に発表した、ロボット産業の動向を予測したレポートによると、2015年の世界のロボット関連市場規模は710億ドル。日本円でおよそ約8兆800億円にのぼる。同社の予測では今後、年平均17%で成長を続け、2019年には倍近くの1354億ドル、日本円で約15兆4000億円までに拡大するとしている。

 日本政府もロボット産業を国の基幹産業の一つに成長させるべく、ロボット産業育成に向けた取り組みを進めている。2015年1月23日に発表されたロボット革命実現会議での「ロボット新戦略」では、ロボットの市場規模を2020年までに、製造業で1兆2000億円、非製造業で1兆2000億円の計2兆4000億円へと成長させることが目標に掲げられた。ここで注目したいのが、非製造業分野での市場規模だ。これまで製造業に集約されていたロボットの活躍が、すでに多方面にわたり始めていることがよくわかる。

 建設業界でも、ロボットの導入が進んでいる。清水建設株式会社は、パワーアシスト技術で知られるアクティブリンク株式会社と、建設機械の開発を担う株式会社エスシー・マシーナリと共同で、人間の右腕の機能を巨大化スケールアップしてロボット化した「配筋アシストロボ」を開発。重量200kgクラスの重量鉄筋の配筋作業を従来の半数の3人の作業員で効率的に行える。

 住宅大手の積水ハウスグループも、株式会社コシイプレザービング(大阪市)と協力し、ユニット分割可能なロボット式防蟻(ぼうぎ)再施工システム「スプロボ」による賃貸集合住宅の床下防蟻処理工事を3月16日から開始した。

 これまで、作業者が各戸の室内や床下に入って行っていた防蟻薬剤を再施工する作業を建物外から遠隔で「施工ロボット」を操作することで、より安全で確実に作業性も高めて施工することができる。また、住民の在宅を必要としないので入居者やオーナーの負担も軽減し、従来の作業費よりも約1割のコストダウンを図れるという。

 注目すべきは、人の作業を代替して負担を軽減する便利なロボットが自宅や建設現場など生活に近い場所にも実用レベルで活躍し始めたことだろう。ロボットはこれから加速度を増して、様々な分野や業種で登場してくると予想される。「ロボットに仕事をとられる」などといわずに、ロボットに任せることで余った時間と労力で、人は人にしかできないサービスの充実を図りたいものだ。(編集担当:藤原伊織)