待機児童2年連続ゼロ 松戸市の取り組みとは

2017年05月10日 06:55

画・待機児童2年連続セ_ロ 松戸市の取り組みとは

2年連続で「待機児童ゼロ」を達成している千葉県松戸市。駅に小規模保育施設を整備したり、送迎保育によって地域偏在を是正したりするなど、子育て世代に優しい環境を整えている。

 2016年の流行語大賞でも話題になった「待機児童」。厚生労働省の調べでは、同年10月時点で、全国の待機児童数は4万7738人。15年と比較すると2423人増加している。保育施設に入れない子供たちが増えている一方、2年連続で「待機児童ゼロ」を達成している自治体がある。それが千葉県松戸市だ。都心からも近く、子育てがしやすい街として注目を集めている。保育園や保育施設への入所について、第一希望から第三希望までの施設に入所できた割合は93%、兄弟姉妹で同じ施設に入所している割合は95.1%と、高い水準を維持している。

 同市では「東京に隣接した子育てしやすい街」として、待機児童対策を最優先課題として取り組んできた。まず、幼稚園での預かり保育を促進。預かり保育を利用して幼稚園に入っても、保育園を利用しても、保護者の負担額がほぼ同じになるよう、最大25000円を市が補助している。

 また、市内の23全ての駅に、0歳~2歳児を対象とした小規模保育施設を整備。小規模保育施設は44ヶ所にのぼり、千葉県内では最多。小規模保育施設は、市内の認可保育園と比較すると約20%も料金が安い。働く親が、低負担で駅の近くの保育施設に子供を預けられる環境が整っている。小規模保育施設を卒園した後に入る保育所についても開設を進めてきた。

 更に、需要が高い松戸地域から、空きに余裕がある東松戸地域や秋山地域の保育施設に園児をバスで送迎する、「送迎保育」にも力を入れ、地域偏在の是正にもつなげている。

 同市では子育て情報サイト「まつどDE子育て」を運営しており、保育施設情報や子育てイベントの告知、妊娠から小中学生といった時期別の子育て情報などを掲載。豊富なコンテンツを用意して、子育て世代に有益な情報を提供している。

 もちろん、全ての自治体が模倣するのは難しいだろうが、子育て世代にとっては保育施設の充実は必要不可欠な条件だ。子育て世代を呼び込むことによって、人口が増加し、自治体の活性化にもつながる。「子育てしやすい街」として整備した松戸市の事例は、注目するに値するだろう。(編集担当:久保田雄城)