疑念払拭へ閉会中審査に客観的資料示し答弁を

2017年07月15日 10:11

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国民が最も知りたいのは、2015年に閣議決定された「獣医学部新設に必要な4条件」のひとつひとつについて、客観的資料を提示しての、条件クリアの証拠だ

 「行政が歪められた」のか。

 学校法人加計学園(岡山市)獣医学部新設をめぐり、総理友人の加計孝太郎氏が理事長を務める「加計学園ありき」で、国家戦略特区制度が利用されたのではないか。政府には、客観的資料を示し、国民の疑念を払しょくすることが強く求められている。

 今週、新たな動きがあった。安倍晋三総理が出席しての予算委員会(閉会中審査)集中審議が月内に行われる見通しになった。

 国民が最も知りたいのは、2015年に閣議決定された「獣医学部新設に必要な4条件」のひとつひとつについて、客観的資料を提示しての、条件クリアの証拠だ。

 京都産業大学が獣医学部新設のために示したものと加計学園が示したものとの比較において、加計学園が優れているとの材料がどこにあったのかを示すことも疑念を払しょくするうえで、求められている。

 合わせて、総理が関与した疑惑について、前川喜平・前文部科学事務次官が10日の衆参での文科委員会・内閣委員会連合審査会で発言した「昨年9月上旬に、総理官邸の和泉洋人総理補佐官から呼ばれ、和泉補佐官の執務室で面談した際、国家戦略特区における獣医学部開設について文部科学省の対応を早くするように要請を受けた。その際『これは、総理が自分の口からは言えないから、私が代わって言うのだ』という発言があった」としたこと。

 「和泉補佐官を中心として官邸の関与があると明らかに推測される」としたこと。「総理の御意向」、「官邸の最高レベルが言っている」などの文書について「信憑性が高く、文書から読み取れるのは(愛媛県)今治市の(獣医学部)設置時期について、平成30年4月、これが総理の御意向だとしか読めない」と明言したこと。

 「規制改革一般について、平成30年4月に間に合うように規制改革しろ、という趣旨ではなく、今治市の獣医学部の開設を30年4月にしろと、それが総理の御意向だとしか読めない」と指摘したこと。

 「文部科学省担当課と内閣府とは頻繁にやりとりをしているので、『30年4月』という日付が何を指すのかということに、誤解を生じるはずはないと考えている」としたこと。

 さらに山本幸三地方創生担当大臣が「需要の量とか数についてはっきり示すことは無理」と連合審査会で開き直り「(閣議決定した)石破4条件のどこに数や量が書いてあるのか。書いていない」として「定性的な傾向があれば十分だ」などとかなり無茶な答弁をし、答弁に客観的な資料を何も示せていないこと、などなど、疑問は多々ある。

 予算委員会での集中審議までに、これらの疑問に対しても、説得力をもつ資料を示し答弁頂けるよう準備をお願いしたい。

 同時に、さきの連合審査会での審議を踏まえて、総理のほか、和泉総理補佐官、藤原豊前内閣府審議官、杉田和博内閣官房副長官、萩生田光一内閣官房副長官、前川前文部科学事務次官、木曽功元内閣官房参与の出席が必要だ。

 特に、前川前文科事務次官が直接面会時に「総理が自分の口からは言えないから、私が代わって言うのだ」と和泉総理補佐官が発言したと明言していることから、和泉総理補佐官の出席は欠かせない。政府には最大限の説明努力が求められている。

 与党・公明党の山口那津男代表も党の会合で「政府は国民の疑問に対し、しっかり説明責任を果たし、国民の信頼を回復しなければならない」と説明責任を果たすよう求めている。予算委員会での集中審議を注視したい。(編集担当:森高龍二)