学校法人加計学園(岡山市)が愛媛県今治市に岡山理科大「獣医学部」設置を進める中で、獣医学部研究棟最上階に「ワインセラー」を設置する計画が設計業者の提案で当初図面にあったとされる背景に、同大学がワイナリーのTetta(テッタ=岡山市哲多町)と包括連携協定を結んだことがあるようだ。
産官学でワインの醸造技術の開発に向けた研究施設「ワイン発酵科学センター」を開設し、ワインプロジェクトプログラムでは全学生を対象に、ワインについて情報発信できる人材育成など、ワイン需要の拡大に貢献する狙いがあるもようで、センターは今年4月に開設された。
加計学園が発行している今年3月の学園通信(16号)では「4月にワインプロジェクト始動」との主見出し、ワイン特区の「新見市・Tettaと包括連携協定、新たな魅力で地域貢献」とのサブ見出しで、協定内容を紹介。「日本を代表するワインの産地づくりを目指す」と紹介した。
協定内容はワインによる地域活性に貢献する人材の育成、共同研究などをあげている。研究推進部門を担当する星野卓二副学長のコメントとして「ワイン用ブドウ栽培は生食用に比べ手間がかからない。岡山市でも農家の高齢化でブドウ栽培を放棄している農地が目立っている。ワイン用ブドウ栽培なら各段に省力化できるので、岡山県特産のブドウ栽培技術を生かした地域の活性化にもつながる。地元に適した品種、酵母の研究を進め、地域貢献を果たしていきたい」と紹介。
ワインプロジェクトプログラムは1年次に「ワインの歴史と風土、文化」、2年次に「ワイン醸造法」、3年次に「ワイン成分の分析・官能評価」まで組む。「糖、アミノ酸、アルコールなど、どの成分がどれだけ含まれていれば、どんな味のワインになるのか」分かるようにする。岡山に本部を置く学園が地元貢献する一環のようだ。
獣医学部研究棟にワインセラーが計画された背景に、こうした産官学の取り組みがあったのではと推察される。ワインセラー設置に大学の取り組みとしての正当な理由があるのであれば、他の厨房設備に変更するより、その理由を正確に伝えるべきではなかったのか、と、この件において思われる。(編集担当:森高龍二)