厚生労働省は「平成28年度 医療費の動向」を公表した。これは医療費の動向を把握することを目的とされており、医療機関の診断報酬の請求を基に作成されたものである。現在の診療報酬の負担額等、医療費の実態を見てみよう。
厚生労働省は「平成28年度(2016年度)医療費の動向」を公表した。この動向を発表する意図として厚労省は「医療費の動向を把握すること」としており、医療機関の診療報酬の請求を基に作成されている。これによると平成28年度における医療費は41.3兆円であり、前年度比約0.2兆円の減少となったが、いずれにせよ依然として高水準となっている。
医療費の内訳別でみてみると、入院費が16.5兆円と全体の4割を占めており、最も多い診療報酬となっている。また、C型肝炎治療薬といった抗ウイルス剤の診療報酬改定で薬価が安価となったことが起因して、平成28年度の調剤費は7.5兆円となり、前年度比4.8%の減少となった。医療機関を受診した患者の受診延日数は前年度比0.7%の減少に転じており、診療種別ごとに見た場合でも全体的に減少傾向である。(前年度比、入院0.2%減少、入院外1.0%減少、歯科0.5%減少)。
抗ウイルス剤の処方は、前年度は下半期(27年10月から28年度3月まで)に集中していたが、28年度においては上半期(4月~9月)に集中している。診療報酬の改定のおかげか、27年度下半期のウイルス剤の薬剤費は3006億円であったのに対し、28年度上半期では1581億円まで抑えられている。ただし、これは一時的な薬剤費の減少という見方もあり、29年度以降の薬剤費の伸び率は注視していく必要がある。
今回の発表は速報値であり、労災での診療及び全額自費での医療費は含まれていない。その為、厚生労働省でさえ把握し切れていない”医療費”が存在しているということを国民は十分に理解をしておく必要があるだろう。ピーク時から減少しているとはいえ、未だ医療費は高額であることも念頭に置いておく必要がある。(編集担当:久保田雄城)