大学設置審議事、名前消してでも公開せよ

2017年11月16日 06:19

 学校法人加計学園が運営する岡山理科大学に獣医学部を設置することを林芳正文部科学大臣が認可したことを受けて開かれた15日の衆院文部科学委員会で、希望の党の今井雅人議員は大学設置審での議論をチェックするため「大学設置審でどのような議論がなされていたのか、非常に重要なので、議事録を公開するように」と求めた。

 林芳正文部科学大臣は「設置認可という行政処分の前提となる内容を取り扱う審議会なので、個々の委員の発言、見解を明らかにすることで率直な意見の交換が妨げられる可能性があると考えているので、個別の議事録は作成していない。審査会、分科会の議事要旨を公開することにしている。合わせて、審査意見や答申を公開することを持って審査過程の透明性は図られている」とした。

 今井議員は「議事要旨をつくるためには、議事録があるはずだ。個々の委員の発言が(分かるのは)困るのであれば、(発言者の)名前を消して公開するように」と強く求めた。

 また、この日の質問で、今井議員は、設置審では事務方から審議冒頭に内閣府から2015年閣議決定の4条件については審査がすでに内閣府で終わっているのでこのことは検討外だと説明があったとの報道があったが、事実かどうか、と質した。

 これに林文科大臣は「特区の認可を得て、大学設置の認可申請が出されたものなので、事務局から設置審の委員に特区で認定された経緯の説明と設置審では特区構想との整合性について審査する役割を有していないことを説明したと聞いている」と答え、大学設置審では最初から2015年閣議決定での新設4条件に適っているかどうかの審査を審査対象から外しているなどと、審査権限外だとして、審査させなかった、ことが分かった。

 今井議員は「設置審委員のみなさんは設置4条件を満たしているかどうかに疑問を持っていたのではないか」と政府側を質した。

 また今井議員はNHKの取材に答えた設置審委員の意見では「定員に対して施設が根本的に小さい、教育水準にしても他大学に比べかなり劣っているというのは共通の認識であった」とあるが、設置審でこうした議論があったのか、と質した。

 また、他大学・学部でできないことをするとすれば、教員に加え、施設も重要だと指摘し「施設について審査していない」ことも問題視した。今井議員は「少なくともバイオセーフティレベル(BSL)3の施設が必要だが、厚労省は審査もしていない。設置審はチェックもしていない。何もしていない」問題だとした。

 あわせて、2015年閣議決定の獣医学部新設4条件のひとつ「既存の大学・学部では対応困難」ということでも、獣医学部を設置する既存の大学への問い合わせを行っていないことも指摘した。(編集担当:森高龍二)