厚労省は12月1日、10月分の一般職業紹介状況を公表。有効求人倍率は1.55で、前月から0.03ポイント増加、人手不足感を更新。正社員では倍率1.03で前月より0.01上昇、統計を取り始めてからの最高値を更新。
厚生労働省は12月1日、ハローワークでの求人、求職、就職の状況を集計した「一般職業紹介状況(10月分)」を公表した。集計結果によれば人手不足感はさらに高まっていると言える。
10月の季節調整済みの有効求人倍率は1.55となり、前月から0.03ポイント上昇した。新規求人倍率(季調済)は2.36倍となり、前月から0.1ポイント上昇した。正社員の有効求人倍率は1.03倍と前月を0.01ポイント上回り、2004年に統計を取り始めてからの最高値を更新した。
中長期的に見ると有効求人倍率はリーマンショック時の09年8月に0.42倍と底をついてから単調に増加を続け、13年11月には1.01と1倍を超え、以後も最高値を更新し続けており、10月の1.55倍は高度成長期最後の1974年1月以来43年9カ月ぶりの高水準である。
この求人倍率の高さは、新規求人が前月に比べ1.0%の増加傾向であるのに対し、有効求職者は対前月比0.5%減少と減少傾向で推移し続けており、求職者の減少が倍率を押し上げている状況で、高度成長期の求人と求職の双方の増加による人手不足感とは性格が異なる。
職業別のデータを見ると、分類された職業の「全職業の計」では有効求人倍率は1.41倍、その中で「建設・採掘の職業」が4.34倍と目立って高く、中でも「建設躯体工事の職業」で9.89倍と極めて高い倍率になっており、建設業界での人手不足感が極めて高いことがわかる。これはオリンピックの影響が一因にあると想像できる。
その他、建設業の人手不足とも関連すると考えられる警備員を多く含む「保安の職業」が7.94倍と目立って高くなっている。この他、個人家庭での介護・育児等に従事する「サービスの職業」の「家庭生活支援サービスの職業」5.96倍と建設、保安に次いで高くなっている。また、同じく「サービスの職業」の「生活衛生サービスの職業」が4.17倍と高い。
「専門的・技術的職業」においては、建設関連である「建築・土木・測量技術者」が5.47倍、「医師、薬剤師等」が5.45倍と著しく高く、「事務的職業」では「外勤事務の職業」が4.16倍と4倍を超えて目立った高さを示している。
「事務的職業」は総合で0.46倍、また「運搬・清掃・包装等の職業」の総合が0.8倍と1倍を下回っており、職業により人手不足感は大きなバラツキがみられる。
総じて見れば、社会情勢や技術進歩を反映した結果になっており、産業構造の急速な変化に伴う就業構造の変化の中で、求職者の絶対的不足とミスマッチが同時に起こっている状況と考えられる。(編集担当:久保田雄城)