水素ステーションの本格整備のためトヨタなど11社が新会社設立契約締結

2017年12月14日 06:41

Toyota MIRAI

世界初の水素で発電しながら走る燃料電池車「Toyota MIRAI」、普及には水素ステーションの拡充が鍵となる

 トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(以上、自動車メーカー3社)、JXTGエネルギー、出光興産、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキー(以上、インフラ事業社6社)、豊田通商、日本政策投資銀行(以上、金融機関2社)の計11社は、2017年5月より燃料電池自動車(FCV)向け水素ステーションの本格整備を目的とした新たな協業について検討を行ない、新会社を2018年春に設立することで合意し、設立契約を締結した。

 新会社は、水素・燃料電池戦略協議会「水素・燃料電池戦略ロードマップ」(2016年3月22日付改訂)の官民目標(2020年度までに水素ステーション160カ所の整備、FCVの4万台普及など)を踏まえ、表記11社を中心にオールジャパンでの協業によりFCV普及初期における水素ステーションの整備を加速させるべく、設立する組織だ。

 今後、新会社を中核として幅広く水素ステーション事業者や投資家へ本事業への参画を求めつつ、水素ステーション事業の早期自立化及びFCVの普及拡大を図り、日本が持続可能な水素社会を実現するための取り組みを強化するとしている。

 新会社では、FCV普及初期における水素ステーション事業の諸課題を踏まえ、インフラ事業者、自動車メーカー、金融機関がそれぞれの役割を果たし、協調することで、FCV需要の最大化が狙える水素ステーションの戦略的な整備と、着実なFCVの普及、水素ステーション事業の自立化を目指す。

 具体的な新会社の取り組みは、第一に水素ステーションの戦略的な整備にあるのは言うまでもない。

 新会社は、事業期間を10年と想定し、第1期として4年間で80基の水素ステーションを整備することを目指す。着実な整備基数目標達成のために、当初11社のメンバーだけでなく広く新会社への新規参画を募る。

 また、新会社は、国の補助金政策、自治体の普及に向けた取組みを総合的に勘案し、独自に「水素ステーション整備計画」を策定し、日本全国でFCVを使うための環境を整備する。

 水素ステーションの効率的な運営へ貢献するというのも重要な課題だ。

 オールジャパン体制で水素ステーションを整備・保有する新会社は、インフラ事業者に委託する水素ステーション運営業務を通じて水素ステーションの整備情報や運営情報を収集し、その情報を有効に活用することで、水素ステーションの効率的な運営などに貢献する。

 インフラ事業者は、水素ステーション整備への投資・建設を実施し、新会社から水素ステーションの運営業務を受託する。また、新会社と共に水素に関する普及啓発にも取り組む。

 自動車メーカー各社は、新会社による水素ステーション最適配置への取組み、水素ステーションの利便性向上への取組み、水素に関する普及啓発活動への取組みなどを新会社に業務委託しつつ、資金拠出を含めて活動をフォローする。また、FCV普及初期において新会社と協働でFCV普及拡大に取り組む。

 金融機関は、新会社に出資し、水素ステーション事業の自立化までに必要な資金の拠出を通して、インフラ事業者の初期投資負担を軽減、水素ステーション事業への新規参入を促す。(編集担当:吉田恒)