普天間移設先 辺野古しかなかったと防衛省

2012年02月06日 11:00

 防衛省は同省が作成した「在日米軍・海兵隊の意義および役割」と題したパンフレットの文面に対する沖縄県の質問に答える中で「米軍普天間飛行場は米海兵隊の陸上部隊を支援する航空部隊の拠点としての機能を有していること」「ほぼ本州に匹敵する広大な範囲に点在する南西諸島の全体をカバーする観点、種々の緊急事態に迅速に対応する初動対応部隊としての海兵隊の役割などを勘案すれば国内のほかの都道府県に駐留した場合、距離的近接性を活かした迅速な対処が確保できず、種々の事態への対処に遅れが生ずることが大きな問題点であると認識している」などをあげ「移設先は名護市辺野古にお願いせざるを得ないとの結論に至った」と辺野古でなければならない理由をあげ、理解を求めていた。

 沖縄県基地対策課は昨年末に防衛省から寄せられた回答を全文公表。そこでは(1)在日米軍の中でも唯一、地上戦闘部隊を有している在沖縄海兵隊は抑止力の一部を構成する重要な要素であること(2)潜在的紛争地域に近いまたは近すぎない位置が望ましいこと(3)沖縄は戦略的な観点から地理的優位性を有していることが最大要素であることが浮き彫りになっており、「普天間飛行場の危険性を早期に除去する必要があり、極力短期間で移設できる案が望ましい」ということを踏まえても「移設先は辺野古しかなかったとご理解頂きたい」と半ば懇願していた。

 野田佳彦総理は米国訪問までに沖縄を訪ねる意向を示しているが「環境整備をしてから行く」という前に、沖縄でなければならない重要性を理解してもらうためには石破茂元防衛大臣が言うように「1日も早く、沖縄に行くべき。行かなければ何も始まらない。環境整備の一歩は沖縄に行くところから始まる」(石破茂元防衛大臣)という助言を素直に聞くべき、との声も。

 沖縄の質問に防衛省は「海兵隊が九州や本州に駐留した場合、沖縄と比較して朝鮮半島には近くなる場合がある一方で、台湾、東南アジアといった地域から遠ざかることになる。沖縄に比較的近い米海軍佐世保基地であっても日本最西端の与那国島なで1200キロの距離となり、艦船(20キロトン)で約32時間、回転翼機(120キロトン)で約5時間半を要することになる。沖縄からであれば半分以下の時間で展開が可能になる」。有事には初動対応が最も重要なことは誰の目にも明らかで、沖縄の地理的優位性は動かせないと判断している以上、理解を求めるほか選択肢はない。(編集担当:福角忠夫)