大手銀行5社が2桁増益 金利上昇で貸出収益拡大、みずほ・りそな上方修正

2026年08月16日 19:42

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国内金利の上昇を背景に貸出金利息などが拡大した大手銀行。3メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループの第1四半期純利益が前年同期比48.2%増となった(写真:三菱UFJフィナンシャル・グループ)

今回のニュースのポイント

大手銀行グループ5社の2027年3月期第1四半期決算は、そろって最終利益が2桁増となりました。国内金利の上昇に伴って貸出金利息が増加し、預貸金利ざやが改善したほか、手数料や市場関連収益も拡大。ゆうちょ銀行では有価証券利息配当金など資金運用収益が大きく伸びました。好調な進捗を受け、みずほFGとりそなHDは通期利益見通しを上方修正しています。

■ 大手銀行5社、そろって2桁最終増益

 国内大手銀行グループ5社(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、ゆうちょ銀行)の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろいました。

 三菱UFJFGは親会社株主に帰属する四半期純利益が8,094億2,700万円(前年同期比48.2%増)、三井住友FGは純利益5,013億72百万円(同33.0%増)、みずほFGは純利益4,229億900万円(同45.5%増)を達成。りそなHDは純利益805億26百万円(同14.2%増)、ゆうちょ銀行は純利益1,775億円(同69.3%増)と、規模や事業構成の異なる5社がそろって前年同期比2桁増益を記録しました。

 この好業績を貫く大きな共通要因が、国内における「金利の上昇」です。長年続いた超低金利環境が変化し、銀行本来の稼ぐ力である「利ざや(預貸金利回差)」の改善などが決算数字として表れ始めています。

■ 金利上昇が本業を押し上げ 貸出金利息が拡大

 決算で顕著な変化を見せたのが、貸出金利息の増加に伴う資金利益の拡大です。

 三菱UFJFGは国内金利の上昇などを背景に貸出金利息が増加し、本業の資金利益が順調に拡大しました。

 三井住友FGは連結資金利益が前年同期比26.4%増の7,918億90百万円へ伸長。傘下の三井住友銀行単体における国内預貸金利回差は1.31%となり、前年同期の1.08%から0.23ポイント改善しました。

 みずほFGも貸出金利息が前年同期の6,472億円から7,358億1,100万円へと大幅に増加し、りそなHDでは貸出金利息が前年同期比31.6%増の1,651億53百万円へ急増。グループ4行合算の国内預貸金利回差は0.14ポイント改善して1.05%へ上昇しました。

 金利上昇は預金などの調達費用を押し上げる側面もありますが、今回の決算では貸出金利息や資金利益が拡大し、一部行では預貸金利回差の改善も確認されました。

■ 金利だけではない 手数料・市場収益も伸長

 今回の好決算を支えているのは、貸出金利による利ざやの拡大だけではありません。非金利収益や市場部門の稼ぐ力も利益上振れに貢献しています。

 三菱UFJFGや三井住友FG(役務取引等利益18.8%増)では、法人・個人向けの各種ソリューション取引の増加によって手数料収入が順調に伸長しました。

 みずほFGでは市場関連業務が大きく寄与し、トレーディングなどを担うグローバルマーケッツカンパニーの業務純益が前年同期の734億円から1,996億円へと大幅に拡大しました。

 金利上昇による資金利益の拡大に、手数料や市場業務といった非金利収益の上乗せが組み合わさったことが、5社そろっての2桁増益につながっています。

■ ゆうちょ銀行69%増益 資金運用収益が拡大

 5社の中で最も高い最終増益率(69.3%増)を記録したのがゆうちょ銀行です。ただし、同社の収益構造はメガバンクやりそなとは大きく異なります。

 大規模な貸出を収益の柱とするメガバンクやりそなに対し、巨額の金融資産を運用するゆうちょ銀行では、有価証券利息配当金などを含む資金運用収益の拡大(前年同期比2,222億円増の6,781億円)という形で収益が伸びています。

 同じ金利環境の変化でも、事業モデルの違いによって業績への表れ方が異なる点が浮き彫りとなっています。

■ みずほ・りそなが上方修正 3社は計画据え置き

 第1四半期の順調な進捗を踏まえ、通期業績予想の修正動きもみられます。

 みずほFGは、通期の親会社株主に帰属する当期純利益予想を従来計画から1,000億円引き上げ、1兆4,000億円へ上方修正しました。りそなHDも通期の親会社株主利益目標を3,300億円へ引き上げています。

 一方、三菱UFJFG(目標2兆7,000億円)、三井住友FG(予想1兆7,000億円)、ゆうちょ銀行(予想6,600億円)の3社は、足元の好業績を維持しつつも従来の通期計画を据え置きました。

■ 「金利のある世界」、預金獲得と調達コストが次の焦点

 長年続いた超低金利のもとでは、銀行は貸出を行っても十分な利ざやを確保することが難しい状況が続いていました。しかし金利環境の正常化により、今回の5社決算では、貸出や資金運用から得られる収益の拡大が利益成長として表れました。

 もっとも、金利上昇は貸出金利だけでなく、預金金利や資金調達コストの上昇も同時にもたらします。今後は日本銀行による追加利上げの動向とともに、より優良な預金を引きつける獲得競争や、資金調達コストのコントロールが各社の収益性を大きく左右することになります。

 国内金利の上昇により、銀行各社には本業で利益を得やすい環境が戻りつつあります。「金利のある世界」への本格的なシフトのなかで、拡大した資金利益を持続的な成長へとつなげられるかが、今後の銀行経営における重要な注目点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)