総合電機大手6社は2027年3月期第1四半期でそろって増収となり、主要利益指標も増益となった。各社の成長分野はIT・社会インフラ、FA、電池、半導体、エンターテインメントなど多岐にわたり、「総合電機」の収益構造は大きく変化している(イメージ画像)
今回のニュースのポイント
日立製作所、三菱電機、パナソニックHD、NEC、富士通、ソニーGの総合電機大手6社が、2027年3月期第1四半期でそろって増収となり、主要な利益指標でも増益となりました。成長を支えたのはAI・ITサービス、社会インフラ、FA、半導体、ゲームなど。かつて家電やPCなどで競った総合電機各社の「稼ぐ場所」が大きく変化しています。
■ 総合電機6社、そろって増収 主要利益指標も増益
国内の総合電機大手6社(日立製作所、三菱電機、パナソニックホールディングス、NEC、富士通、ソニーグループ)の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろいました。6社すべてが増収を達成し、営業利益または各社が主要指標とする調整後営業利益でも、そろって増益となりました。
日立製作所は売上収益2兆7,095億8,600万円(前年同期比20.0%増)、調整後営業利益2,942億8,700万円(同39.5%増)を記録。ソニーGも売上高2兆8,377億7,100万円(同8.2%増)、営業利益4,764億9,900万円(同40.2%増)、パナソニックHDも売上高2兆1,891億円(同6.4%増)、営業利益1,824億円(同110.0%増)へと拡大しました。
また、三菱電機は売上高1兆4,971億9,000万円(同14.0%増)、営業利益1,395億1,000万円(同24.6%増)、NECは売上収益8,197億7,400万円(同14.5%増)、営業利益587億7,000万円(同66.1%増)、富士通は売上収益7,793億円(同3.9%増)、営業利益525億円(同56.9%増)と、各社とも増収となり、主要利益指標も増益となりました。(※日立は調整後営業利益。各社で適用する会計基準や利益指標が異なるため方向性を比較)
6社の決算で特徴的なのは、業績拡大を牽引している事業が、かつて総合電機メーカーの象徴だったテレビや白物家電、個人向けPCなどではない点です。各社が推し進めてきた事業構造の変化が、決算数字として表れています。
■ 日立・NEC・富士通:IT・デジタル、社会インフラが成長源に
日立製作所、NEC、富士通の3社は、ITソリューションや社会インフラのデジタル化(DX)需要を背景に利益を伸ばしています。
日立製作所は「デジタルシステム&サービス」のほか、電力網を担う「エナジー」や鉄道事業を中心とする「モビリティ」など、社会インフラ分野と自社のデータ基盤「Lumada」を掛け合わせた領域が収益を押し上げています。
NECも行政DXやAI関連、防衛、通信インフラといったBtoB・BtoG(対政府)領域への集中が寄与しています。
富士通も主力の「サービスソリューション」(調整後営業利益31.3%増)が全体を牽引しました。3社に共通するのは、単にハードウェアだけでなく、企業や行政、社会システムのデジタル化を担うサービス・ソリューション領域の比重を高めている点です。
■ 三菱電機・パナソニック:BtoBや産業・エネルギー領域が主役に
三菱電機とパナソニックHDも、企業向け(BtoB)や産業領域の伸びが利益増を支えています。
三菱電機はFAシステムや自動車機器を含む「インダストリー・モビリティ」の調整後営業利益が約2.3倍に伸びるなど、産業・インフラ分野が利益成長を支えました。(※減価償却方法の定額法への変更に伴う営業利益押し上げ効果約90億円を含む)
パナソニックHDは「コネクト」や車載電池などの「エナジー」、産業向け機器の「インダストリー」など、BtoB・産業領域が利益成長を支え、全体で大幅な営業増益となりました。
一般消費者向けの家電イメージが根強い両社ですが、実際の利益成長を引っ張っているのは製造業の自動化、電池、半導体、社会インフラといった企業・産業向けの需要となっています。
■ ソニー:エンタメと半導体による独自の成長路線
他社とは異なる事業構成で成長を続けるのがソニーグループです。売上高は8.2%増の2兆8,377億7,100万円、営業利益は40.2%増の4,764億9,900万円となり、高い収益性を維持しています。
収益の軸となったのは、スマートフォン向け大判センサーの需要が拡大したイメージセンサー(営業利益が前年同期比約2.3倍)と、ネットワークサービス等が堅調な「ゲーム」、そして「音楽」です。
IT・社会インフラへ向かった日立やNEC、産業・BtoB領域を強める三菱電機やパナソニックに対し、ソニーは半導体技術とエンターテインメントを組み合わせた独自のポジションを築いています。
■ 「総合電機」は同じでも、稼ぎ方は6社6様
かつての日本の総合電機メーカーは、テレビ、白物家電、パソコン、AV機器などを幅広く手掛け、同じような市場で競い合っていました。
しかし今回の決算からは、各社の収益源の違いが明確に見えてきます。
・日立製作所: デジタル + 電力・鉄道などの社会インフラ
・NEC: 行政DX + AI + 防衛・通信インフラ
・富士通: 企業向けITサービス・クラウド
・三菱電機: FA・産業機器 + パワー半導体 + 防衛・インフラ
・パナソニックHD: 車載電池 + BtoBソリューション + 産業デバイス
・ソニーG: イメージセンサー(半導体) + ゲーム + 音楽・エンタメ
各社が異なる成長領域へ事業の軸足を移してきたなか、その成長分野が今回の増収増益を支えています。
■ 通期予想の動きと事業構造の変化
足元の順調な進捗を受け、大手各社では通期の主要業績予想において修正や上方修正の動きがみられるなど、底堅い計画を提示しています。
今後は、AIやデータセンター投資の動き、行政・企業のDX需要、脱炭素に向けたエネルギー投資、防衛関連需要の動向などが引き続き業績を左右する焦点となります。
かつて同じ市場で家電やPCを競った日本の総合電機各社は、現在では異なる成長領域を主戦場としています。6社そろって増収増益となった今回の決算は、「総合電機」という従来の枠組みの内側で、各社の収益源が大きく変化している現在地を改めて浮き彫りにしました。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













