IT化の進展、第四次産業革命の到来の中、企業が求める人材も急速に変化してきている。人口減少の中、絶対的な人材不足の状況が続いているが、さらに産業構造の大きな変化の中で人材の需給に大きなミスマッチが出てきているようだ。
4月20日、経済産業省が「理工系人材需給状況に関する調査結果」を公表した。この報告書は社会人を対象とした理工系人材の需給実態等調査と企業を対象とした理工系人材の需給実態等調査の結果をとりまとめたものだ。
企業が現在の業務で必要とする分野と社会人が大学で学んだ分野との比較をすると、機械工学、ハード・ソフト、プログラム、会計・簿記、マーケティング等の分野で、企業のニーズが高く社会人が大学で学んだ分野の割合を上回っている。
技術系職種での詳細を見ると、機械工学、ハード・ソフト、プログラム系、通信、ネットワーク、セキュリティ系、データベース・検索系で企業のニーズが著しく高くなっており、社会人が大学で学んだ分野の割合を超えている。社会人が学び直したいと思っている学び直しのニーズは概ね企業のニーズと一致しているが自動車工学、人工知能等は企業のニーズを上回る結果となっている。
非技術系職種では、経営・生産・サービス・金融工学、リスクマネジメント、会計、簿記、マーケティング、機械工学、ハード・ソフト、プログラム系、データベース・検索系で企業のニーズが高くなっており、文学、経済学、政治学、社会学等では大学で学んだ者が企業のニーズをはるかに上回っている。
5年後技術者が不足すると予想される分野を「最も不足する分野」「2番目に不足する分野」「3番目に不足する分野」とし、それぞれ90分野から企業に選択させた回答では、機械工学が12.4%で最も多く、次いで電力の7.5%、通信・ネットワーク5.8%、ハード・ソフトプログラム系5.7%、土木工学5.5%の順となっている。
5年後技術者が不足する理由としては、「他社が当該分野の採用数を増やしているため」が53.4%と最も多く、次いで 「業界や自社に対する学生認知が低く、応募が集まらず採用に至らないため」が43.2%、「当該分野を学んでいる学生数が少ないため」が23.4%と多くなっている。
全体的に見ると大学側の人材供給の分布と企業が求める人材の専門分野が大きく乖離しているといえる。(編集担当:久保田雄城)