我が国は政府レベルにおいて女性の社会進出・活躍推進を掲げている。この背景には少子高齢化の人口構造の下、生産年齢人口の急速な減少が確定しており、将来における全般的な労働力不足が予測され、その労働力不足を緩和する必要があるからだ。実際、労働市場は既に極めて深刻な人手不足の状態にある。官民一体となった諸改革の効果もあってか就業者人口は着実に増加しており、その中でアルバイト・パート労働者の増加も顕著なものがある。この内の多くが主婦層であることは言うまでもない。
女性活躍推進の第一義は労働力不足を補うためであろうが、個々人の多様性に応じた幸福追求をサポートして行くのも我が社会の重要な目的である。主婦が働く理由には様々なものがあるだろう。家計を少しでも楽にするためかも知れないが、また一方で自己実現動機によるものかも知れない。もし、家計のために働いているのであれば仕事から得られた収入を自分のために使うことは難しくなる。
2日、しゅふJOB総研が働く主婦の収入に関し興味深い調査結果を公表している。しゅふJOB総研は今年の5月下旬から6月上旬に「主婦は自分の収入を使えるか」をテーマに働く主婦約1000人を対象にアンケート調査を実施した。
「仕事で得た収入を自分の意思で使うことができるか」という質問に対して、「自分の意思である程度は使える」と回答した者が51.1%で最も多い回答であった。次いで、「自分の意思のまま自由に」が35.8%で、両者を合わせると86.9%の者が程度の差はあれ「自分の意思で使える」と回答していることになる。
しかし、「自分の意思で使える」と回答しているものの、それが「自分のために使える」ということを意味しているかといえば必ずしもそうではないようだ。自由回答欄で詳細を見ると、「ある程度使えると思いますが、使うとは思えない」(50代)、「自分の意思で使うが、自分の物はほぼ買えない」(40代)、「自分の意思だが全部教育費」(40代)、「生活費に消費される部分もあるが、自分で納得しているので、自由に使っていると考えている」(50代)などとなっており、「自分の意思」とはいえ、実際使う段階では家計を補うため、家族のために使われている傾向がうかがえる。
意思決定権は収入を得た主婦にあるというものの、「自分のために」というレベルまでには達していないようだ。(編集担当:久保田雄城)