「水素協議会」発足から1年半、参画企業数4倍。年次総会の発表に世界が注目

2018年09月07日 06:26

Hydrogen Council

2017年1月、Hydrogen Council(水素協議会)」発足当初参加した世界の水素社会を推進するリーディングカンパニー13社が牽引して、現在53社の参画となった

 2017年1月、スイスのダボスで発足した「Hydrogen Council(水素協議会)」は、世界初の水素に関するグローバル・イニシアチブとして、使用時にCO2を発生しないクリーンな燃料・エネルギーとして注目されている水素を利用した新エネルギー移行に向けた共同のビジョンと長期的な目標を提唱してきた。

 以後、“水素は多様性あるエネルギー”と位置づけ、関連の技術と製品は、この間に大きく進化し、次第に市場に投入されつつある。

 発足当初、同協議会に参加した企業は、以下の13社。Air Liquide(エア・リキード)、Alstom(アルストーム)、Anglo American(アングロ・アメリカン)、BMW Group(BMWグループ)、Daimlar(ダイムラー)、Engie(エンジー)、本田技研工業、Hyundai(ヒュンダイ)、川崎重工業、Royal Dutch Shell(ロイヤル・ダッチ・シェル)、Linde Group(リンデグループ)、Total(トタル)、そしてトヨタ自動車だった。

 現在、ベルギー・ブリュッセルに本部を置く「Hydrogen Council」は今般、新しく14企業の参画が決定したと発表した。今回参画した企業は、Airbus、Air Products、Cummins、EDF、Johnson Matthey、KOGAS、SINOPEC、thyssenkruppのステアリング・メンバー8社と、AFC Energy、三菱重工、Re-Fire Technology、三井住友銀行、住友商事、Southern California Gasのサポーティング・メンバー6社。また、すでにサポーティング・メンバーであったFaureciaが、ステアリング・メンバーとなった。

 今回新たに14企業が加わることで、11カ国、53の企業がHydrogen Councilに参画し、参画企業全体の収益規模は2.5兆ユーロ、従業員数は380万人以上に達するという。13の企業で発足し、その後1年半で参画企業数は4倍以上に増加。この急速な拡大は、水素活用への関心が高まっていることを示している。

 9月12日から米国サンフランシスコで開催される「グローバル・クライメート・アクション・サミット(Global Climate Action Summit)」会期中にHydrogen Councilの年次総会が実施されるが、今回の発表はそれに先立つ報告となる。年次総会では、各社の経営幹部が一同に会し、水素活用を通じて60億トンのCO2削減、2兆5,000億ドルの市場と3,000万人の雇用創出に向けた21世紀中頃までの共同ビジョンについて、戦略的議論とアクションプラン策定を実施する。また、Hydrogen Councilは、Global Climate Action Summitでこれまでの取り組みについて発表する予定だ。

 同協議会発足から8カ月の間、2017年11月に公表したレポート『Hydrogen, scalilng up(水素市場の拡大)』に基づく水素社会実現に向けたロードマップを参画企業で共有し、世界の政府と新しい取組みを検討してきた。Global Climate Action Summit会期中、同協議会からいかなる発表があるのか、世界が注目している。(編集担当:吉田恒)