トヨタは、2014年に始動した「5大陸走破プロジェクト」において、先月、南アフリカのダーバン工場でアフリカ大陸走破のゴールを迎えた。
2014年から走り続けるこのプロジェクトは4大陸の走破を終え、2019年春からは、中東をスタートとしたアジア大陸走破へと、最後の襷をつなぐ。
アフリカ大陸走破では、2カ月間にわたり、スズキ、日野自動車、トヨタ車体のメンバーを含む76名が1万0600kmを走破。参加メンバーは、多種多様なアフリカ特有の道を走り、過酷な車両の使用環境を肌で感じ、現地ユーザーの声を直に聞くことで、アフリカで求められる「もっといいクルマ」について1人ひとりが考え、意見を交わしながらクルマと向き合う時間を過ごしたという。
参加者は深い凸凹、尖った石、波状路、砂漠などのさまざま過酷な未舗装路の走行を通じ、信頼性、耐久性、乗り心地の大切さを、身を持って経験した。また、舗装路においても、長い直線、頻繁に道路を横断する動物、急に現れるアスファルト道路の表層がはがれて出来た大きな凹みである“ポットホール”や、強制的にクルマを減速させるために道路にわざと凸をつくる“スピードブレーカー”、多くの過積載大型トラックの追い抜きといった特殊な環境での走行を通じて、ブレーキ性能、高速安定性、パワー&トルクの重要性も再認識したとも。
5大陸走破プロジェクトは、TOYOTA GAZOO Racingの一環として、グローバルトヨタと関連会社の従業員が自らステアリングを握り、世界中のトヨタ車ユーザーが日常的に使用する道を現地現物で走るプロジェクト。走行を通じて世界の道を知り、現地ユーザーの声を聞き、各国の文化に触れ、多くの課題・困難にチームで解決策を見出す経験のなかで、デスクワークやテストコースでは得られない「もっといいクルマづくり」に向けたセンサーを磨く、人材育成を目的としている。
プロジェクトは2014年のオーストラリア大陸走破を皮切りに、2015年北米、2016年南米の両アメリカ大陸、2017年ヨーロッパ大陸、2018年アフリカ大陸走破を通じ、延べ556人の国内外メンバーが、9万9600kmを399日かけて走破した。
参加メンバーからは、「車両の評価項目の見直しに反映し、日々の業務でも活かしている」「クルマづくりへの“誇り”と“責任”を再確認できた」「もっといいクルマづくりには、自機能ばかりにとらわれず、クルマ全体で考えなければならないことが解った」「自分の感覚とお客様の感じ方には乖離がある事を改めて感じ、今まで以上にお客様の声に意識を向けて素直に見つめ直すきっかけになった」など、現地現物で得られた知見をもとに、自らがトヨタのもっといいクルマづくりの原動力になるという意欲が芽生えたという。
2019年春からは、中東をスタートとしたアジア大陸走破へと、最後の襷をつなぐ。(編集担当:吉田恒)