経団連会長、原発再稼働積極発言で脱原発逆撫で

2019年01月18日 06:42

 原発を扱う日立製作所代表執行役に就いている日本経団連の中西宏明会長が定例記者会見で、原発再稼働を促し、脱原発を求める国民感情を逆撫でした。中西会長は原発再稼働を「積極的に推進するべきだ」などとした。

 生態系にまで影響を与える東京電力福島第一原発事故の甚大な被害や悲惨さからの教訓、原発ゼロ社会を望む国民感情を逆撫(な)でする発言を利害関係者の立場にある日立製作所代表執行役員が経団連会長として発信することに疑問の声もでてきそう。

 中西会長は「原発の安全性の議論が尽くされていても、地元の理解が得られない状況に立ち至っている」などとし「説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論することが必要になっている。にもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない」と議論を求めた。

 中西会長は「仮に原子力をベースロード電源として使わない場合、長期的に見て、何が人類のエネルギー源になるのか、冷静に考えてみるべきだ」と述べ「再生可能エネルギーだけで賄うことは到底不可能。原子力技術を人類のために有効に使うべき」とした。

 中西会長は「政、官、産、学で真剣に議論していく必要がある」と提起したが、議論するなら、政・官・産・学だけでなく、原発ゼロ社会を目指す専門家、消費者団体代表らも加え、本当に再生可能エネルギーだけで賄うことが不可能なのか、原発ゼロは長期的に見てできないものなのかの視点を真剣に議論するべき。

 政府・与党は立憲民主党など野党共同で提出の「原発ゼロ法案」の審議にも入らない不誠実な姿勢で、再稼働を進めている。エネルギー問題を論じるなら、原発ゼロを含めた議論こそ必要だろう。今夏の参院選挙でも争点の一つにすることが求められる。(編集担当:森高龍二)