国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)およびトヨタ自動車は、両者で共同研究を進めている燃料電池車技術を用いた月面でのモビリティ「有人与圧ローバ」の愛称を「LUNAR CRUISER(ルナ・クルーザー)」と命名したと公式に発表した。
LUNAR CRUISERという愛称には、共同研究において試作車の製作など実際にモノづくりを進めていくなかで、関係者や一般の方々に親しみを持ってもらいたい、トヨタのSUV・LAND CRUISERがもつ「必ず生きて帰ってくる」という精神や、品質、耐久性、信頼性を月面という過酷な環境を走る有人与圧ローバにも引き継いでいきたいという想いを込めて名付けたという。
JAXAとトヨタは、2020年代後半の打ち上げを目指し、2019年6月13日に締結した共同研究協定に基づき、有人与圧ローバの研究を進めている。今年度(2020年度)は、シミュレーションによる走行中の動力や放熱の性能確認、タイヤの試作・走行評価、VR(仮想現実)や原寸大の模型を活用した有人与圧ローバ内部の機器配置の検討など、各技術要素の部品の試作、試作車の製作に取り組んでいる。
さらに両者は、“チームジャパン”の仲間づくりの一環として、JAXA、トヨタ、三菱重工業の3者が幹事会社となって2019年8月より開始している「有人与圧ローバが拓く“月面社会”勉強会(通称:チームジャパン勉強会)」を通じ、有人与圧ローバを出発点として、将来の月面社会のビジョンや課題について様々な業種間で横断的に意見交換を行なっている。
JAXAとトヨタは、今後も、多様な業界の企業の技術力や知見を結集し、“チームジャパン”として持続的な月面活動の実現に向けて挑戦していくとしている。(編集担当:吉田恒)