2017年は「IoT元年」になるか。携帯3社と電子メーカーが仕掛けるIoTの未来

2017年01月07日 19:21

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2017年は「IoT元年」になるか。 一般的な認知も急速に高まってきた、モノのインターネットこと「IoT」

 2017年は「IoT元年」になるか。 一般的な認知も急速に高まってきた、モノのインターネットこと「IoT」。

 昨年11月には、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIの携帯大手3社が軒並み、2017年からIoT向け通信規格を使ったサービス展開を始める方針を発表した。今や、我々の生活には切り離せないアイテムとなった携帯電話やスマートフォンがIoT化するということは、世の中がいよいよ本格的にIoT社会に向けて動き出すのではないだろうか。

 もっとも早い動きとしては、2月からKDDIがIoT通信規格「シグフォックス」を使ったサービス提供を開始する予定だ。

 シグフォックスは、フランスのSIGFOX S.A.が提供する、「LPWA」と呼ばれる通信技術を採用したIoT専用ネットワークのことで、通信速度は上り毎秒100メガビットと遅いものの、伝送距離が最大数十キロと広範囲なのが最大の特長だ。また、既存の技術を応用できるために低コストでの導入が可能で、電力消費も抑えられるという利点がある。欧米24か国でサービス展開されており、日本では京セラの子会社である京セラコミュニケーションシステム株式会社が国内展開の権利を取得している。また、協力会社には村田製作所や、三井住友銀行、関西電力など40社以上がすでに参加を表明している巨大プロジェクトだ。

 しかし、IoTが本格的に普及するためには、大手企業が仕掛ける大規模プロジェクトだけでは片手落ちではないだろうか。あらゆるものをインターネット化するためには、小規模なプロジェクトや商品でも容易に導入できる環境が必要だ。開発に膨大な時間や経費が掛かるようでは、IoTは絵に描いた餅になってしまいかねない。

 例えば、電子部品メーカーのロームが開発したWi-SUNモジュールなどが、今後、IoT普及に向けての鍵になるのではないだろうか。

 Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)は、IoTをはじめとするスマートコミュニティ構築に最適な国際無線通信規格で、屋内外で通信でき、低消費電力で通信距離に優れることで注目されている。同社は2015年1月に第一弾となるWi-SUNモジュール「BP35A1」のインターネット販売を開始して以来、1個から購入可能で、どんな機器にも手軽にWi-SUN通信を組み込めることをコンセプトに開発を行ってきた。16年11月に発売開始した最新のWi-SUNアダプタボード「BP35C0-T01」、及びUSBドングル「BP35C2」も、用途に応じて誰でも手軽にWi-SUNの通信環境の構築が可能になる無線通信製品だ。

 とくにUSBドングルにおいては、IoT機器のUSB端子にそのまま挿入すれば、簡単にWi-SUN環境を実現できる画期的な製品となっている。しかもインターネットで簡単に購入できるため、ユーザーが「すぐに、身近に、簡単に」IoT環境を構築できることは今後のIoT普及に拍車をかけていくことであろう。

 大規模なプロジェクトによる環境の構築と、それを支える技術力。これらが合わさってようやくIoT社会は実現するだろう。そして、日本にはその下地は充分にある。日本はこれまで、自動車大国、ロボット大国などといわれてきたが、今年から「IoT大国」といわれるようになることを期待したい。(編集担当:松田渡)