三菱ふそう、三菱自、Ample社、ヤマト運輸が共同で電池交換式EV貨物車の実証を東京で開始

2025年06月12日 06:56

三菱自+ふそう、電池交換式EV

電池交換型EVを使った宅配物流の実証を都内で開始する 写真は三菱自の軽商用EVバン「ミニキャブEV」、三菱ふそうのEV小型トラック「eキャンター」とAmple社のバッテリー交換ステーション 運用はヤマト運輸が行なう

 三菱ふそうと三菱自動車、Ample社、ヤマト運輸の4社は、バッテリー交換式電気自動車(EV)とバッテリー交換ステーションの、物流事業者の業務における実用性に関する実証を、2025年9月から東京都内で行なうと発表した。

 今回の実証では、150台超のバッテリー交換式EV貨物車と14基のバッテリー交換ステーションを使用して実施する。この実証は東京都および東京都環境公社の2024年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択され,支援を受けている案件でもある。

 この実証に取り組む目的は、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル社会の実現、および2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%削減する」ことを目指している環境対策が背景にある。

 2022年時点で日本の総CO2排出量の約19%を占めている運輸部門では、商用車のZEV(Zero Emission Vehicle)化が喫緊の課題だ。

 すでにヤマト運輸は2022年以降、複数の車両メーカーとバッテリー交換式EVの規格化・実用化に向けた検討および実証を行なってきた。また、三菱ふそう、Ample、ヤマト運輸は、2024年8月から11月まで、京都府京都市にてAmpleのバッテリー交換ステーションおよび三菱ふそうのバッテリー交換式の「eキャンター」を使用した、集配業務における実用性の実証を4カ月間行なった。この結果、目標としていた車両品質を確認できたほか、運用方法のノウハウの蓄積や、車種や車両ブランドを問わずバッテリー交換ステーションが共用できる点を検証した。

 新たに東京都内で行なう実証で、使用する車両は150台超(実証期間中に順次拡大)で始める。バッテリー交換ステーションは都内に14基設置する予定で、実証期間中に順次拡大する。

 実証に参加する企業の役割および検証する内容は以下のとおり。

三菱ふそうは「EV小型トラック“eキャンター”バッテリー交換式車両の企画・提供・整備」、三菱自は「軽商用EV“ミニキャブEV”バッテリー交換式車両の企画・提供・整備、Ample社は「バッテリー交換ステーションの設置・運用」を担い、ヤマト運輸は「集配業務でバッテリー交換式EVを使用」する。

 検証内容は大きく5項目だ。(1)バッテリー交換式EVの大規模運用。(2)バッテリー交換ステーションにおける異なるブランド・サイズの車両の運用。(3)集配業務における実用性や車両性能。(4)内燃車、充電式EVと比較した経済合理性。(5)交換式バッテリーEVの運用における各種基礎データの取得となる。

 バッテリー交換式EVのメリットは、従来の充電方法EVと比べて車両の待機時間を大幅に短縮することが可能であること。実証では、バッテリー交換ステーションを設置し、バッテリー交換を全自動で行なう。バッテリー交換の目標時間を5分間に設定しており、物流車待機時間の短縮につながるほか、バッテリーを手動で交換する必要がないため、ドライバーの負担軽減にもつながる。

 Ample社のバッテリー交換ステーションは、コンパクトかつ短期間で組み立てが可能なため、東京都のような高密度な都市環境においても効率的なインフラ整備を実現し、実用的なEVシフトのソリューションとなり得る。

 4社は本実証を通じて、バッテリー交換式EVの実用化と商用EVのさらなる普及に向け、バッテリー交換技術の確立および運用基盤の構築を目指す。さらに、温室効果ガス排出量の削減に向けて、バッテリー交換ステーションでの再生可能エネルギー由来電力の使用を検討するという。(編集担当:吉田恒)