MAZDAと日本製鉄、サプライヤー・業種の壁&領域を超えた「共創活動」の強靱化成果を報告

2025年10月26日 10:39

MAZDA+Ni-Seitetsu

マツダ 取締役専務執行役員向井武司氏(左)、日本製鉄 代表取締役副社長廣瀨孝(右)

 マツダと日本製鉄は、従来の完成車メーカーと材料メーカーの関係や領域を超えた「共創活動」の成果を、マツダが本年 7月に世界初公開した新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX -5」へ適用し、短期間での最適な車体構造開発の実現に成功したことを発表した。

 自動車業界において、電動化や知能化、環境対策、地政学や各国・地域の政策によるサプライチェーン上のBCP (事業継続計画)、さらに素材や部品の価格高騰など、さまざまな要因によって相対的な付加価値や重要性、リスクが変化している。

 また、車両のデジタル化やソフトウエア化により、バリューチェーンについても、水平分業を前提とした共創型の「新しいものづくり」の構造にシフトしていく必要がある。

 そのためマツダは、2030経営方針で「原価低減とサプライチェーン強靭化」を掲げ、商品原価や製造原価にとどまらず、サプライチェーン・バリューチェーンを俯瞰したムリ・ムラ・ムダを構造的に取り除く取り組みを通じて、原価低減力と減産抵抗力を高める強靭なサプライチェーンの構築を目指している。具体的にマツダは、同じ志を持つ取引先と、長期的なつながりを前提として、開発初期の段階からサプライチェーン全体で合理的かつ効率的なものづくりを実現することで、共に成長しながら、価値創造と原価低減を両立する独自の「共創活動」を進めている。

 マツダと日本製鉄は、「共創活動」の成果の第1弾を新型「MAZDA CX -5」に織り込み、進化した「走る歓び」を世界中のお客さまに届ける計画だ。長年にわたる取引関係をベースに、従来以上に自動車開発の初期段階から日本製鉄が参画することで、設計・生産・調達を含むサプライチェーン・バリューチェーン全体を見直し、最適な車体構造を短期間で実現した。日本製鉄の次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe® -AutoConceptECO 3(エコキュービック)”を活用し、マツダのモデルベース開発と日本製鉄の独自解析技術、工法等とのシナジーによって、「走る歓び」を進化させる剛性や衝突安全性などの車体性能を確保しながら、鋼材重量を前モデル比で10%削減に成功した。

 また開発初期の段階から鋼板材料の選定をともに行ない、マツダの車両組立工場に近い日本製鉄の鋼板製造工場を選定できるようになった。これにより、調達構造がシンプル化になり、輸送などにかかるコストやCO 2 排出の削減、サプライチェーン上の在庫削減、地政学的リスクの低減と安定供給や、両社の間接的な生産コスト削減にも貢献した。

 両社は今後、対象車種を増やしながら、車種横断的な視点で、価値創造と原価低減を両立する強靭なサプライチェーン・バリューチェーンの構築を進めていくとしている。(編集担当:吉田恒)