日経平均1400円高 市場が中東リスクより円安を選んだ理由

2026年06月22日 11:44

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円安が地政学リスクを上回った――。週明けの東京市場で日経平均株価は前場だけで1400円近く上昇しました。ホルムズ海峡を巡る緊張が高まる中でも、市場は161円台の円安による企業収益への追い風を重視。

今回のニュースのポイント

週明け22日午前の東京株式市場で日経平均株価は前週末比1,398円41銭高の72,648円47銭で前場を終了しました。週末にはイラン革命防衛隊によるホルムズ海峡の再封鎖表明や、スイスでの米イラン協議を巡る不透明感などの緊迫化する報道が相次いだものの、市場は動揺せず買いが優勢となりました。為替相場が1ドル=161円台半ばまで円安に振れていることも投資家心理を支えており、地政学リスクそのものよりも国内の企業業績への好影響を重視する動きが強まっています。

本文
 週明けとなった6月22日午前の東京株式市場は、地政学リスクの台頭という下押し圧力を想定させるニュースを吸収し、大幅な上昇を記録しました。週末から週明けにかけての国際報道では、イラン革命防衛隊によるホルムズ海峡の再封鎖表明やトランプ米大統領による強硬姿勢の表明など、中東情勢の緊迫化を伝える情報が相次ぎました。また、共同通信によるレバノン情勢の悪化懸念などの報道も重なり、通常であれば原油価格の高騰からインフレが加速し、世界的な景気懸念を背景に株安を誘発しやすい外部環境となっていました。しかし、東京市場はこうした警戒感を吸収し、寄り付き直後から買い注文が先行する展開となりました。

 市場が地政学リスクを吸収して上昇した背景には、円安進行と企業業績への期待があります。声明の文言ではなく実態を見極めようとする金融市場特有の冷静な視点も働いています。現時点において、ペルシャ湾からの原油の物理的な供給停止は確認されておらず、船舶の通航も完全に途絶したわけではありません。また、米イラン間の協議自体も完全に決裂したわけではなく、対話のルートそのものは継続していると報じられています。投資家の多くは、最悪のシナリオである中東発の全面的な経済危機の発生ではなく、現時点では「限定的な緊張状態の継続」という範疇にとどまるとの織り込みを進めているものとみられます。

 さらに、こうした投資家心理を構造的に支えているのが、外国為替市場における1ドル=161円台半ばという大幅な円安水準で進行する円安・ドル高基調です。中東情勢の緊迫化報道よりも、足元の円安による国内輸出企業の収益押し上げ効果や、海外の機関投資家から見た円建て資産の割安感が、日本株の強力な買い材料として評価されています。地政学的な不安要因が存在するなかにあっても、為替相場の恩恵による企業業績の強固さが上回り、買い安心感を醸成する原動力として機能している状況です。

 とりわけ161円台まで進んだ円安は、自動車や電機など主力輸出企業の業績見通しを押し上げる要因として評価されています。日経平均株価が6月中旬に7万円の大台を突破して以降、市場では利益確定の売り圧力を十分に吸収しながら、押し目買いの動きが継続してきました。今回の大幅高によって株価が72,000円台へとさらに水準を切り上げたことは、一部の材料株に偏った一時的な物色ではなく、東京市場全体に対する広範な資金の流入、すなわち投資家心理全体の強気への回帰を示唆しています。

 ただし、市場全体がこのまま楽観一色で推移するかどうかは予断を許しません。今後は、緊迫化する情勢を受けた原油価格の動向や、それに伴う米国の長期金利の推移、さらにはホルムズ海峡における実際の商船の通航状況やドル円相場の反応を慎重に見極める局面に移行します。金融市場は現段階で実体経済への重大な悪影響を想定していませんが、今後の事態の進展によって危機の深刻度が高まれば、現在の評価が一変する可能性も潜在しています。週明けの東京株式市場が示した大幅高は、地政学リスクの軽視ではなく、「現時点で経済危機には至っていない」という投資家の冷徹な情勢判断を映し出しています。市場は現時点で中東情勢そのものよりも、円安がもたらす企業業績へのプラス効果を優先的に評価していると言えそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)