日銀展望リポート、AI需要が景気を下支え 2026年度後半は物価2%超を予測

2026年07月31日 21:47

日銀3

日本銀行本店。日銀は展望リポートで、AI関連需要が景気を下支えする一方、2026年度後半以降は消費者物価が2%を上回るとの見通しを示した。

今回のニュースのポイント

日本銀行は31日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2026年度の日本経済について、中東情勢による原油高が下押し要因となるものの、グローバルなAI関連需要の増加や各種政策、緩和的な金融環境を背景に緩やかな成長を続ける見通しを示しました。消費者物価指数(除く生鮮食品)は、原油価格上昇やAI需要拡大に伴う半導体価格上昇、円安の影響により、2026年度後半以降に2%をはっきりと上回る水準へ伸び率を高めると予測しました。

本文
 日本銀行は7月31日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、わが国の景気について「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との判断を維持しました。2026年度の経済見通しについては、春先以降の原油価格上昇が企業収益や実質所得の圧迫要因となる一方、グローバルなAI関連需要の増加や政府の支援策、緩和的な金融環境が下支えし、緩やかな成長を続けるとしています。実質GDP成長率の見通し(政策委員の大勢見通し中央値)は、2026年度が前年度比0.6%増と、前回4月時点から概ね不変としました。

 物価の見通しについて、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年比は、2026年度後半以降に2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めると予測しました。賃金上昇の販売価格への転嫁に加え、これまでの原油価格上昇や円安の進行、AI需要増加に伴う半導体価格などの上昇が耐久財の価格を押し上げる要因として挙げられています。なお、政府による夏場の電気・ガス代負担緩和策の影響から、2026年度のCPI見通し(中央値2.5%)は前回の2.8%から下方修正されました。

 今回の展望リポートでは、景気の下支え要因として「グローバルなAI関連需要」に関する言及が複数箇所でみられました。AI向け半導体などの需要増が企業収益や設備投資を支える要因として挙げられています。一方、投資に見合った収益が得られない場合の調整圧力や、関連素材・部品の価格上昇圧力といったリスク要因にも触れています。

 先行きの主要なリスク要因としては、中東情勢が経済・物価に及ぼす影響、AI関連需要の動向、為替相場の変動を挙げています。物価のリスクバランスについては「上振れリスクの方が大きい」とし、企業の積極的な賃金・価格設定行動や予想物価上昇率の高まりを背景に、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れるリスクを指摘しました。

 日銀は、今後の経済・物価動向について、中東情勢やAI需要の動向、為替相場の影響を含めたリスクを注視する姿勢を示しています。基調的な物価上昇率が2%程度で定着するかどうかや、賃金と物価の相乗的な上昇メカニズムが維持されるかが今後の点検ポイントとなります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)