今回のニュースのポイント
政府は、防災・減災や老朽化インフラ対策を進める「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、今後5年間でおおむね20兆円強の事業規模を目途として対策を推進します。8月7日に関係府省庁が取りまとめた推進方針では、令和8年熊本地震の課題対応や南海トラフ地震への備えに加え、令和9年度予算で新設される「『強く豊かな日本』投資枠」の活用を明記。防災・国土強靱化を「人命を守る施策」であると同時に「強い経済を下支えするための投資」と位置付け、当初予算中心の予算編成や民間資金の導入、防災産業の海外展開(2030年に2兆円目標)を見据えた取り組みを進めます。
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政府は「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、事前防災やインフラ老朽化対策の取り組みを加速させています。8月7日に開かれた関係府省庁連絡会議では、7月に発生した「令和8年熊本地震」で明らかとなった課題も踏まえながら、今後の着実な推進方針が取りまとめられました。今回の決定は、単なる公共事業の追加にとどまらず、中長期的な投資見通しや予算編成のあり方に関わる方針を示しています。
2025年6月に閣議決定された実施中期計画では、推進が特に必要な施策について、今後5年間でおおむね20兆円強程度を事業規模の目途として定めています。この「20兆円強」は国費だけを指すものではなく、財政投融資や民間事業者等による事業も含めた事業規模の目途です。また、今後の資材価格や人件費高騰等の影響については、予算編成過程で適切に反映するとしています。適正な積算や単価見直し、工期設定を行うことで、現場での確実な事業執行と必要な事業量の確保を図ります。
推進方針では、激甚化する気象災害や切迫する南海トラフ地震等のリスクに加え、直近の「令和8年熊本地震」等の災害により明らかとなった課題についても計画のフォローアップへ反映させることが盛り込まれました。対象は道路や堤防などのハード整備にとどまりません。デジタル技術を活用した生産性向上、広域連携によるインフラ群の再生マネジメント、フェーズフリー(平時・有事の境界をなくす考え方)の導入、人材確保など、ソフト面を含めた予防保全と体制整備に重きが置かれています。
予算確保の仕組みにおいては、令和9年度予算で新設される『「強く豊かな日本」投資枠』が活用されます。同投資枠は、国内投資を通じた潜在成長率の引き上げや危機管理投資などを対象として通常歳出とは別に創設されるものです。最大の特徴は、要求上限であるいわゆる「シーリング」を設けない点にあります。事項要求を含めて必要な金額を適切に要求できる仕組みとされ、国土強靱化関係予算についても同投資枠を活用して必要・十分な予算を確保する方針です。
あわせて予算編成の方針として、補正予算の編成を「真に緊要性の高い施策」に限定し、恒常的な施策については当初予算で措置する趣旨が徹底されます。従来のように災害後や年度途中の補正予算に依存する形を避け、政府は危機管理投資・成長投資などを予見可能性を持って実施できる予算編成を目指しています。
今回の決定では、防災・国土強靱化を危機管理投資であると同時に「強い経済を下支えするための投資」と明確に位置付けています。PPP/PFIの活用や企業版ふるさと納税、クラウドファンディング、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)など、多様な手法で民間資金の導入を促進します。官民共同出資や企業のBCP(事業継続計画)策定など、自主的な民間投資を誘発する仕組みの構築を進めます。
国土強靱化の取り組みと並行して、政府は「日本成長戦略」の中で防災産業の育成を進める方針を示しています。スタートアップ支援やSBIR制度等を駆使し、研究開発から実証、公共調達・社会実装までを一気通貫で支援。日本企業の防災分野における海外売上総額を、2024年の約1兆円から2030年には「約2兆円」へ増大させる目標を掲げています。
内閣官房は8月末を目途に、関係府省庁の概算要求と税制改正要望を取りまとめて公表する予定です。各省庁が国土強靱化関連として具体的にどのような要求内容を取りまとめるかが注視されます。また、大規模な事業を進めるにあたっては、個々の施設の整備状況や地域単位での取り組みを地図等で「見える化」し、オープンデータとして公開する方針も示されています。「20兆円強」という事業規模の推進とともに、KPI(重要業績評価指標)の進捗や事業効果をどのように検証していくかも今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













