JALとANA、燃油サーチャージなぜ違う? 欧米往復で1万円差

2026年08月19日 07:29

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JALとANAの航空機。2026年9~10月発券分の国際線燃油サーチャージでは、北米・欧州などで両社の設定額に差が生じる

今回のニュースのポイント

JALとANAが2026年9~10月発券分に適用する国際線の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)では、北米・欧州などでJALが片道5万円、ANAが5万5000円と、単純往復で1万円の差があります。両社とも同じ時期の燃油市況を基準とし、政府の緊急的激変緩和措置を反映して一段低い水準を適用していますが、燃油サーチャージの金額は国が一律に決めているものではありません。国土交通省は「航空会社の事業者判断により申請されるもの」と整理しており、実際にJALとANAでは燃油価格帯ごとの料金設定が異なります。

本文
 日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)がそれぞれ発表した2026年9月1日から10月31日発券分の国際線燃油特別付加運賃を比較すると、北米・欧州などで金額に差が生じています。

 1旅客1区間片道あたりの北米・欧州方面などの設定額は、JALが5万円に対し、ANAは5万5000円となっています。単純往復(2区間)の場合、JALは10万円、ANAは11万円となり、1万円の差が生じる計算です。同じ時期の燃油市況をもとに算出しているにもかかわらず、なぜこのような料金差が生じるのでしょうか。

■ 両社とも「一段低い基準」を適用

 まず前提として、今回JALとANAが参照している燃油市況が大きく異なっているわけではありません。

 JALの算定対象となった2026年6~7月のシンガポールケロシン市況価格の平均は1バレル132.50ドル、同期間の為替平均が1ドル161.63円で、円貨換算額は2万1417円でした。この水準は本来なら2万1000円基準の「ゾーンP」に該当しますが、中東情勢を踏まえた政府の航空機燃料への緊急的激変緩和措置を反映し、一段低い2万円基準の「ゾーンO」が適用されました。

 ANAについても同様に、本来は「2万1000円以上2万2000円未満」のテーブルとなるところ、政府の緊急的激変緩和措置を踏まえ、一段低い「2万円以上2万1000円未満」のテーブルを特例として適用しています。つまり、今回の両社はともに政府措置を反映し、2万円基準に相当する一段低い水準を適用しています。

■ 国が一律に決めているわけではない

 それでも両社で料金が異なる背景には、燃油サーチャージが国によって全国一律の金額として定められている制度ではないことがあります。

 国土交通省航空局が2026年4月に公表した「第1回 持続可能な航空脱炭素化に関する有識者会議」の資料では、燃油サーチャージについて「航空会社の事業者判断により申請されるもの」と整理されています。同資料は、シンガポールケロシン価格を基準とすることや、サーチャージ額が運航コストの増加分を賄うのに必要な額を超えないこと、利用者への合理的な説明に資する基準価格をもとに変動価格を設定することなどを「考え方」として示していますが、同時に「規程ではない」とも明記しています。

 燃油価格から全国一律のサーチャージ額が自動的に決定される仕組みではなく、基準となる燃油価格をもとに各航空会社が設定・申請し、それぞれの料金テーブルに基づいて適用額が決まります。そのため、同じ燃油価格帯を参照していても、JALとANAで実際の徴収額に差が生じる構造となっています。

■ 同じ「2万円基準」でも設定額に違い

 今回の適用水準(2万円基準)における具体的な料金表を見ると、北米や欧州などの長距離路線について、JALが5万円、ANAが5万5000円と、それぞれ異なる金額をあらかじめ設定しています。したがって、今回の5000円の差を「両社が参照している燃油価格自体が違うため」と説明するのは不適切です。ただし、なぜJALが5万円、ANAが5万5000円という設定になっているのかという、5000円の具体的な算定内訳については、公表資料から確認することはできません。

 なお、今回比較しているのはあくまで燃油特別付加運賃のみです。JALのサーチャージがANAより片道5000円低いからといって、同一路線・同一日程における航空券の総額までJALの方が安いとは限りません。航空券本体の運賃や各種税金、その他の料金も含まれるため、利用者が実際に購入する際には最終的な支払総額で比較する必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)