7月の家計調査では、二人以上の世帯の消費支出が前年同月比で実質3.6%減となる一方、「外食」は消費全体を0.31ポイント押し上げた。自動車購入や住宅修繕などが減少するなか、支出項目によって異なる動きがみられた(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
総務省が2026年9月4日に発表した7月の家計調査では、二人以上の世帯の消費支出が前年同月比で実質3.6%減となり、8カ月連続のマイナスを記録しました。同時に勤労者世帯の可処分所得(手取り収入)も実質3.1%減となりました。しかし、支出の内訳を詳細に確認すると、すべての品目が一様に減少しているわけではありません。自動車購入や住宅修繕、電気代などが全体を大きく押し下げる一方で、宿泊料や外食、家庭用耐久財などは前年同月を上回っており、収入環境が弱含むなかで支出項目ごとの鮮明な動きの違いが浮かび上がっています。
本文
総務省が2026年9月4日に発表した7月の家計調査報告によると、二人以上の世帯の1世帯当たり消費支出は30万1245円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.6%減少しました。8カ月連続の前年割れとなり、表面上の数字からは全体的な消費の伸び悩みが示されています。
しかし、消費支出の10大費目を細かく見ると、その動きには大きな差が生じています。実質増減率でプラスとなったのは、教養娯楽(4.8%増)と家具・家事用品(0.7%増)の2費目です。一方で、住居(16.4%減)、光熱・水道(9.2%減)、交通・通信(8.5%減)、保健医療(6.0%減)、教育(5.4%減)、食料(1.3%減)などは前年同月を下回りました。消費全体が前年割りとなるなかでも、支出先によって明暗が分かれる形となっています。
消費支出全体の押し下げに最も大きく寄与したのが交通・通信です。実質8.5%減となり、全体の寄与度をマイナス1.29ポイント押し下げました。このうち「自動車等関係費」がマイナス1.00ポイントとなり、さらに「自動車購入」単体でマイナス0.96ポイントの影響を及ぼしました。
次いで減少幅が大きかったのが住居です。実質16.4%減(寄与度マイナス1.08ポイント)となり、6カ月ぶりの減少に転じました。なかでも「設備修繕・維持」がマイナス0.89ポイントとなり、「外壁・塀等工事費」(マイナス0.85ポイント)などの減少が目立ちます。1件当たりの金額が大きい自動車購入や住宅の設備修繕といった支出の減少が、7月における消費支出全体の減少率を大きく押し下げる要因となりました。
その一方で、プラス寄与を見せた項目も存在します。食料全体は実質1.3%減と2カ月連続で前年を下回ったものの、内訳の「外食」は寄与度プラス0.31ポイント(「飲酒代」はプラス0.09ポイント)と前年同月を上回りました。
また、教養娯楽は実質4.8%増となり、2カ月連続の増加を記録しました。なかでも「教養娯楽サービス」がプラス0.40ポイント寄与し、その主要項目である「宿泊料」がプラス0.22ポイントと全体を押し上げました。家具・家事用品においても「家庭用耐久財」(洗濯機やエアコンなど)がプラス0.13ポイントとなるなど、一部の品目では増加がみられます。
こうした消費動向のバックボーンにあるのが所得環境です。二人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入は1世帯当たり68万9476円で実質3.8%減少(8カ月ぶりの減少)し、実収入から非消費支出を差し引いた可処分所得(手取り収入)は55万4381円で実質3.1%減少しました。なお、実収入の減少には臨時収入・賞与の実質11.5%減が大きく影響しており、世帯主の定期収入自体は実質0.0%と横ばい圏を維持しています。
可処分所得に占める消費支出の割合を示す「平均消費性向」(勤労者世帯)は58.2%となり、前年同月の60.5%から2.3ポイント低下しました。ただし、季節調整値で比較すると63.0%となり、前月から3.1ポイント上昇しています。前年同月比では平均消費性向が低下した一方、季節調整済みの前月比では上昇しており、比較する基準によって動きは異なっています。
統計データから判明するのは、実質所得や可処分所得、消費支出全体が前年割れとなる中で、「自動車購入や住宅修繕などが減少した一方、宿泊や外食、家庭用耐久財など一部の項目は前年を上回った」という支出項目ごとの違いです。
家計全体の数字の減少と、個別のすべての商品・サービスに対する支出の減少は同義ではありません。今後の家計動向を捉えるうえでは、消費支出全体の増減だけでなく、所得の動きとともに、どの支出項目が増え、どの項目が減っているのかも焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













