食料品消費税1%は「つなぎ」 片山財務相、給付付き税額控除への工程を説明

2026年08月06日 20:51

消費税

給付付き税額控除導入までの工程を示した制度イメージ。2027年4月から2年間は飲食料品の消費税率を1%へ引き下げ、所得連動給付を組み合わせて実質ゼロ化を図り、2029年度から給付付き税額控除を本格導入する方針。(イメージ図)

今回のニュースのポイント

片山財務相は5日の臨時閣議後会見で、閣議決定された「給付付き税額控除」の制度導入に向けた基本方針の全体像を説明しました。制度の中心となる給付付き税額控除を令和11年度(2029年度)から本格導入するにあたり、その経過措置(つなぎ)として、令和9年(2027年)4月1日から2年間に限り飲食料品の消費税率を1%に引き下げるとともに、所得連動給付を組み合わせ、政府は飲食料品に係る消費税の「実質ゼロ化」を図る方針です。財源については特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金や租税特別措置、基金の見直し、今年度約9兆円の税外収入に加え、外為特会剰余金などを含む歳出・歳入の徹底的な点検によって確保する基本方針を示しました。具体的な財源の内訳や規模は今後の予算編成の過程で詰められます。

本文
 片山財務相兼内閣府特命担当大臣は5日、閣議後の臨時記者会見において、同日閣議決定された給付付き税額控除の基本方針と、それに伴う消費税・給付の工程表について詳細を説明しました。

■食料品消費税1%は恒久策ではなく、2年間の経過措置

 会見で示された基本方針の骨子は、令和9年(2027年)4月1日から2年間の時限措置として、軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税率を現在の8%から1%へ引き下げるというものです。

 片山財務相はこの措置について、恒久的な消費税減税ではなく、令和11年度(2029年度)に本格導入する「給付付き税額控除」までの経過措置(つなぎ)であると位置づけています。

■給付を組み合わせて「実質ゼロ化」を図る方針

 令和9年度からは、税率1%への引き下げに加え、公的機関が保有する所得情報を活用した「所得に連動したきめ細かな給付」を同時導入します。

 飲食料品にかかる消費税1%相当分の範囲内で給付を行うことで、税率引き下げ(1%)と給付を組み合わせ、政府は全体として飲食料品に係る消費税負担の「実質ゼロ化」を図る方針です。

■制度の中心は令和11年度導入の「給付付き税額控除」

 今回の施策全体において制度の中心と位置づけられているのが、令和11年度からの「給付付き税額控除」の本格導入です。

 中低所得の現役勤労者層の負担を軽減して手取りが増えるようにするとともに、いわゆる「年収の壁」に伴う働き控えを緩和し、就労促進を図ることを目的としています。片山財務相は、給付付き税額控除を軸とする新たな制度が今回の制度の完成形であるとの考えを示しました。

■農業者や外食産業への影響緩和策も検討

 制度導入に伴う現場への配慮策も提示されました。仕入れ税額控除の還付を受けられない農業従事者などに対しては、現場の納得感が得られる対応を検討する方針です。

 また、軽減税率の対象外となる外食産業への影響についても見極めを行い、過去の各種支援策を参考にしながら、資金繰り支援等の予算措置を講じる方向で検討を進めます。

■財源確保の基本方針を提示、具体像は予算編成で具体化

 減税や給付に伴う財源について、片山財務相は「特例公債(赤字国債)には頼らない」との原則を明確にしました。市場の信認を確保するため、補助金や租税特別措置(租特)の見直し、基金の点検、今年度約9兆円の税外収入など、歳出・歳入のあらゆる選択肢をゼロベースで精査します。

 財源確保の基本方針を示した一方、具体的な財源の内訳や金額規模については、今後の予算編成プロセスの中で順次具体化していくとしています。

■外為特会剰余金の活用実績に言及

 財源候補として議論される外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金について、大臣は為替や金利による変動性を認めつつも、これまで防衛財源等に活用してきた現実的な実績を指摘しました。

 税外収入の確保を含めた歳入見直しを進め、必要な財政需要に対応していく考えを示しました。

■米国との関係「政策への理解と信認がある」との認識示す

 米ベッセント財務長官の発言を巡り、日本の財政運営に対する懸念が取り沙汰されている点について、片山財務相は否定的な認識を示しました。

 適切に政策運営を行っていない政府に対して他国政府が協調介入などで協力することはないと述べ、米国側も日本のプライマリーバランス黒字化への取り組みや債務残高対GDP比の安定的な引き下げ姿勢を理解しており、日米間には確かな政策への理解と信認が存在すると説明しました。

■減税分の価格転嫁について財務相が見解

 税率引き下げ分の価格反映については、法律で価格設定を強制する考えはないとしつつも、外税表示を採用しているスーパーや小売店での効果に言及しました。

 片山財務相は、消費税表記が8%から1%に変わることで店頭での最終価格が下がる可能性は高いとの見方を示し、売上増加につながると期待する小売企業の受け止めも紹介しました。

■今後のスケジュールと法案提出

 政府は今後、制度の詳細設計を進め、9月中に制度の大綱を決定した上で、臨時国会に関連法案を提出して早期成立を目指します。

 財源の具体像については、9月初旬頃に取りまとめられる各省庁の概算要求や租特・補助金の見直し状況、与党(自民・維新)による協議などを経て、最終的に年末の予算編成までに決定していく予定です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)