今回のニュースのポイント
農林水産省は2027年度(令和9年度)税制改正要望を取りまとめ、「農業の持続的な発展」や「食料安全保障の強化」に向けた複数の税制措置について延長や見直しを求めました。農業経営基盤強化準備金制度の2年延長をはじめ、生産方式革新のための特別償却、農地取得時の不動産取得税の課税標準特例、農地の固定資産税における負担調整措置の存続などが盛り込まれています。いずれも現段階では要望であり、今後の税制改正議論で継続や見直しの可否が検討されます。
本文
農林水産省は2026年8月、2027年度(令和9年度)の税制改正要望を公表しました。同省の要望は「食料安全保障の強化」や「農業の持続的な発展」を柱に掲げており、農業経営における準備金の積立から設備投資、農地の取得・保有に至る各段階に関わる租税特別措置について、適用期限の延長や制度の拡充を求めています。
まず、農業経営に関する措置として「農業経営基盤強化準備金制度」の2年延長等を要望しています。本制度は、交付金を準備金として積み立てた場合や、その準備金・交付金を活用して農用地などを取得した場合に経費算入を認める仕組みで、対象税目は所得税および法人税です。
設備投資に関しては、「生産方式革新事業活動用資産等の特別償却」について3年間の延長を求めています。こちらも対象税目は所得税と法人税です。なお、公表された資料内には対象となる具体的な機械名や特別償却率といった細かな条件までは記載されていません。
農地の取得段階における支援策としては、農用地利用集積等促進計画に基づき農用地区域内の土地を取得した際、不動産取得税の課税標準を取得価格から3分の1控除する特例措置について2年間の延長を要望しました。本項目は復興庁との共管事項となっています。これは土地の購入価格そのものを減額する制度ではなく、税額計算の基礎となる課税標準額を軽減する特例です。また、すべての農地取得に一律適用されるものではなく、計画に基づき取得される対象土地に限られます。
農地の保有段階に関しても、2027年度以降の農地に係る「負担調整措置の存続」を固定資産税および都市計画税について要望しました。併せて「農地政策の見直しに伴う税制上の所要の措置」も要望項目に掲げられています。
さらに、中小企業向けの設備投資税制についても、第2「農業の持続的な発展」の項目に再掲されています。中小企業者等が機械等を取得した場合に30%の特別償却または7%の税額控除を認める「中小企業投資促進税制」の2年延長等や、中小企業経営強化税制の拡充等を要望しています。資料では、中小企業経営強化税制について特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却、または法人税額等の特別控除(10%、資本金3000万円超の法人は7%)が示されています。これらは経済産業省等との共管事項で、第2「農業の持続的な発展」に再掲されています。
資料全体では、第1「食料安全保障の強化」にも、中小企業投資促進税制の2年延長等や中小企業経営強化税制の拡充等が盛り込まれています。
注意が必要なのは、今回の発表は2027年度税制改正に向けた「要望」の段階であり、2027年度以降の制度継続や減税が決定したわけではない点です。今後の税制改正議論で、各措置の継続や見直しがどのように扱われるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













