今回のニュースのポイント
日本銀行が8日発表した2026年8月の「貸出・預金動向(速報)」によると、銀行と信用金庫を合わせた貸出の月中平均残高は680兆3427億円となり、前年同月比5.4%増となりました。前年比の伸び率は7月(5.4%増)と同水準を維持しています。一方、預金側の動きを見ると、実質預金とCD(譲渡性預金)を合わせた3業態計の月中平均残高は1072兆4953億円で、前年同月比1.6%増となりました。8月は前年比の伸び率において、貸出(5.4%増)が預金(1.6%増)を上回る展開となっています。さらに貸出を業態別に見ると、都銀等が前年比7.9%増と高い伸びを維持する一方、地方銀行は4.6%増、第二地方銀行および信用金庫は2.0%増と、業態ごとに前年比の伸び率に差が生じています。月中平均残高と伸び率の双方から、8月の金融機関の動向を解読します。
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日本銀行が8日に公表した2026年8月分の貸出・預金動向速報によると、銀行・信金計の総貸出月中平均残高は680兆3427億円(前年同月比5.4%増)となりました。
■貸出残高は前年比5%超の伸びが持続
四半期および月次の推移を見ると、銀行・信金計の貸出平均残高の前年同月比伸び率は、2026年1~3月期(4.6%増)、4~6月期(5.6%増)、6月(5.7%増)、7月(5.4%増)と推移し、8月も5.4%増となりました。
8月の伸び率は7月と同水準であり、貸出平均残高が前年を5%超上回る推移が継続している一方、伸び率自体が加速したわけではありません。なお、信金を除く銀行計の貸出平均残高は600兆3055億円(前年同月比5.8%増)となっています。
■業態別に広がる伸び率の差
貸出を業態別(月中平均残高)に分解すると、前年比の伸び率には差が見られます。
「都銀等(信託銀行やSBI新生銀行、あおぞら銀行等を含む)」の貸出平均残高は280兆6561億円で、前年同月比7.9%増となりました。4~6月期の8.4%増や6月の8.6%増と比べると鈍化しているものの、7月と同じ7.9%増という伸び率を保っています。
一方、「地銀・地銀II」の合計は319兆6494億円(前年同月比4.1%増)でした。内訳を見ると、地銀(第一地方銀行)が263兆6510億円で前年同月比4.6%増となったのに対し、地銀II(第二地方銀行)は55兆9984億円で同2.0%増にとどまっています。
また、信用金庫の貸出平均残高は80兆372億円で前年同月比2.0%増となりました。信金の伸び率は1~3月期1.4%増、4~6月期1.7%増、6月1.7%増、7月1.9%増、8月2.0%増と推移しています。緩やかな拡大傾向を示しているものの、都銀等の7.9%増とは差が存在します。
ただし、この統計のみから貸出の資金使途(設備投資、運転資金、M&A等)や借り手企業規模の分析を行うことはできず、業態ごとの伸び率の差を直ちに地域経済や企業の資金需要の強弱に結び付けることはできません。
■預金残高は1072兆円、伸び率は1.6%増
一方、預金側の動向を示す「実質預金+CD(3業態計)」の月中平均残高は1072兆4953億円となり、前年同月比で1.6%増加しました。
残高ベースでは預金(1072兆円)が貸出(680兆円)を大きく上回っていますが、前年比の伸び率で見ると、貸出の5.4%増に対し預金は1.6%増となり、貸出の伸び率が預金の伸び率を3.8ポイント上回る状態となっています。
ここで注意が必要なのは、貸出統計と預金統計では対象とする業態の集計範囲が異なる点です。貸出統計の「都銀等」には大手行のほか信託銀行等が含まれるのに対し、預金統計の「都銀」はみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行で構成されています。
預金+CDの平均残高の前年比伸び率を業態別に見ると、都銀が489兆8762億円(前年同月比2.7%増)、地銀が347兆7874億円(同1.2%増)、信金が162兆4299億円(同0.2%増)となった一方、地銀IIは72兆4018億円(同0.7%減)と前年同月を下回りました。
■地銀II預金の不連続性と現在地
地銀IIの預金+CD前年比は6月(0.4%減)、7月(0.5%減)、8月(0.7%減)とマイナス圏で推移しています。ただし、日銀の不連続情報によると、2026年1月および5月に銀行合併が実施されたことで、地銀・地銀II・その他国内対象銀行の系列データに統計上の不連続が生じています。したがって、地銀IIの預金変化のみをとらえて単純な比較や解釈を行うことはできません。
8月の貸出・預金動向から確認できるのは、貸出の月中平均残高が680兆3427億円となり前年比5.4%増の伸びを維持していること、預金伸び率(1.6%増)を貸出の伸び率が上回っていること、そして貸出において都銀等(+7.9%)と地銀(+4.6%)・地銀II(+2.0%)・信金(+2.0%)の間で前年比の伸び率に差が生じているという客観的な数値です。なお、本データは速報値です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













