東京の都市景観。WIPOの2026年世界イノベーションクラスターランキングで、東京・横浜クラスターはPCT国際特許出願、科学論文、VC取引からみたイノベーション活動の集積規模で世界2位となった(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
世界知的所有権機関(WIPO)が、9月29日の「Global Innovation Index 2026」全体版公表に先立って発表した世界イノベーションクラスターランキングで、東京・横浜が世界2位となりました。首位は深セン・香港・広州、3位はサンノゼ・サンフランシスコとなり、上位3地域の順位は前年から維持されています。日本ではこのほか大阪・神戸・京都が11位、名古屋が29位に入りました。このランキングは行政区画上の都市ランキングではなく、国際特許出願、科学論文、ベンチャーキャピタル(VC)取引の地理的集積規模をWIPOが独自に分析したものです。
本文
世界知的所有権機関(WIPO)は、9月29日に予定する「Global Innovation Index 2026」の全体版公表に先立ち、世界各地におけるイノベーション活動の集積状況を分析した世界上位100のイノベーションクラスターランキングを公表しました。
2026年の世界上位5クラスターは、1位が深セン・香港・広州(中国・香港)、2位が東京・横浜(日本)、3位がサンノゼ・サンフランシスコ(米国)、4位がソウル(韓国)、5位が北京(中国)となりました。上位3クラスターの順位は前年と変わっていません。以下、6位に上海・蘇州(中国)、7位にニューヨーク(米国)、8位にロンドン(英国)、9位にボストン・ケンブリッジ(米国)、10位にパリ(フランス)が続いています。
このランキングは、一般的な「都市の国際競争力」や「国全体の技術力」を提示するものではありません。WIPOは、PCT国際特許出願の発明者、科学論文の著者、およびVC投資を受けた企業の所在地を地理座標データへと落とし込み、高密度に活動が集まる地域を「クラスター」として特定しています。すなわち、特許・研究・投資というイノベーション活動の絶対的な集積規模を地図上で測定した順位となります。
東京・横浜クラスターについてWIPOは、主要なPCT国際特許出願者として三菱電機、主要な科学論文発表機関として東京大学を挙げています。また、世界上位3クラスター(深セン・香港・広州、東京・横浜、サンノゼ・サンフランシスコ)を合算すると、世界のPCT国際特許出願全体の20%を超える割合を占めていることが示されています。
日本全体に視点を広げると、世界上位100クラスターに入った日本の地域は3つ存在します。2位の東京・横浜に加え、大阪・神戸・京都クラスターが11位、名古屋クラスターが29位に位置しています。東京・横浜と大阪・神戸・京都は前年の順位を維持し、名古屋は前年から1ランク順位を下げる結果となりました。
世界全体の動向を見ると、上位100クラスターの国別内訳では中国が25、米国が20を占め、この2カ国だけで全体の45%に達しています。次いでドイツが7、インドと英国がそれぞれ4となっています。地域別集計では、東南アジア・東アジア・オセアニア地域が36、欧州が30、北米が23となり、3地域で上位100のうち89クラスターを占めています。
また、WIPOは集積の絶対的な規模とは別に、人口規模を考慮した「イノベーション強度(innovation intensity)」という分析も行っています。集積規模の絶対数ではなく人口比率で見た強度ランキングでは、首位がサンノゼ・サンフランシスコ、2位がケンブリッジ(英国)、3位が寧徳(中国)、4位がボストン・ケンブリッジ(米国)、5位がオックスフォード(英国)となっています。
WIPOのデータにおいて、東京・横浜クラスターは集積規模全体では世界2位となる一方、PCT国際特許出願の人口当たり指標においては世界27位となります。イノベーション活動の絶対的な「規模」と、人口に対する「集中度」とでは、異なる分析結果が得られることが示されています。
なお、今回大きく順位を伸ばした例として中国の寧徳クラスターが挙げられます。前年の99位から75位へ24ランク上昇しており、WIPOの集計によるとPCT国際特許出願が38.7%増、科学論文が24.7%増、VC取引が50.0%増と、3つの指標すべてで大幅な拡大が確認されました。
東京・横浜は、特許、論文、VC取引というイノベーション活動の集積規模で2026年も世界2位を維持しました。ランキングは単なる都市や技術力の順位ではなく、研究、特許、投資という各種イノベーション活動が世界のどの地域に集積しているかを客観的に把握するための指標として示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













