国債決済「フェイル」1兆6593億円、前年同月の4.3倍 件数も177件から429件へ

2026年09月11日 10:12

日銀2

日本銀行の外観。2026年8月の国債決済「フェイル」は429件、額面総額1兆6593億円となり、前年同月比で件数は約2.4倍、金額は約4.3倍となった

今回のニュースのポイント

日本銀行が10日に公表した2026年8月の「フェイルの発生状況」によると、国債取引で予定された決済日に国債の受け渡しが行われなかった「フェイル」は429件、額面総額1兆6593億円となりました。前年同月(177件、3877億円)と比較すると、件数は約2.4倍、額面総額は約4.3倍へ拡大しました。ただし、フェイルは国債のデフォルト(債務不履行)や売買当事者の損失額を示すものではありません。日銀の公表データは、国債DVP決済において予定された決済日に国債が受け渡されなかった事例の状況を集計した統計となっています。

本文
 日本銀行金融市場局が10日に公表した「フェイルの発生状況(2026年8月分)」によると、8月に発生した国債取引のフェイルは429件、額面総額にして1兆6593億円となりました。

 前年同月(2025年8月)の177件、3877億円と比較すると、件数は252件増えて約2.4倍となり、額面総額は1兆2716億円増えて約4.3倍となりました。直前月である2026年7月(428件、1兆3134億円)との比較では、件数が1件増とほぼ横ばいとなった一方で、額面総額は3459億円(約26.3%)増加しています。

 8月中に解消したフェイルの平均期間は1.43営業日となり、7月の1.16営業日から長期化しました。最長期間は15営業日(7月は12営業日)でした。なお、フェイルを解消するために制度に基づいて対象債券や同種債券を市場価格で買い入れる「バイ・イン」の発生件数は0件でした。

 専門用語である「フェイル」について、日銀は「国債DVP取引において、国債の受け方がその渡し方から予定されていた決済日が経過したにも拘わらず、対象債券を受け渡されていないこと」と定義しています。したがって、今回の1兆6593億円という数値は、国債の未払い額や政府の債務不履行、あるいは取引金融機関の損失額を指すものではありません。調査対象は、国債振替決済制度の直接参加者のうち、日銀ネット国債DVPシステムを利用する金融機関など244先(自己口、預り口、信託口を含む)となります。

 市場全体の規模感を把握する参考数値として、8月の国債DVP(口座振替)全体の決済実績は56万6684件、額面総額186兆4390億円でした。前年同月は58万0044件、188兆4621億円で、8月も180兆円を超える規模の国債DVP決済が行われています。

 長期的な時間軸で推移を見ると、年間のフェイル件数は2023年の1万666件(額面総額39兆2210億円)から、2024年は5349件(同16兆0417億円)、2025年は4305件(同13兆1851億円)と減少傾向をたどってきました。2026年は1月から8月までの単純合計で3470件(同12兆860億円)となっています。

 8月の国債決済フェイルは、前年同月比で件数が約2.4倍、額面総額が約4.3倍へ増大し、前月比でも金額規模が拡大しました。ただし、日銀が公表した資料は集計結果の数値を提示したものであり、件数や金額が増加した市場背景や技術的要因などの原因までは示していません。国債市場の決済状況を測るうえでは、今後の推移や継続性を客観的に見ていく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)